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部材の変形
梁・ラーメンなどに荷重がかかれば、当然ながら変形が生じます。部材の変形が予想以上
になればそれに取りつく仕上げ材にクラックなどを引き起こし、大きな被害を生み出すことに
なりかねません。
ここでは部材の変形を、梁のたわみを中心にした構造力学的視点から見ていきます。普段
はたわみの理論的なことにまで踏み込んで考える必要はないと思いますが、基本的な概念
を知っておくことに損はありませんし、このたわみの考え方がこの後解説する不静定構造物
の解法に大きく関わってきますので、普段使用しているたわみの公式がどのようにしてでき
たのかを確認しておきたいと思います。
公式を使用した実務的な計算は、鉄骨の梁・柱の項で取り上げていますのでそちらもあわ
せてご覧ください。
■たわみ・たわみ角
図1・図2のような梁に荷重を掛けると、載荷後はそれぞれ図3・図4のようになります。この
ときの変位量をたわみ(δ)と言い、変形後の部材に対する接線の角度をたわみ角(θ)
と言います。
図1 単純梁 | 図2 片持ち梁 |
図3 単純梁の変形 | 図4 片持ち梁の変形 |
このたわみ・たわみ角を求めるには、モールの定理を用いた方法と積分を使用して求める
方法(弾性曲線の微分方程式を立てる)があります。
モールの定理とは、求めたい部材に対しM/EIという荷重を想定したときに、曲げモーメント
がたわみと等しくなり、せん断力がたわみ角と等しくなるという定理です。
モールの定理による解法 |
まず最初に曲げモーメントを求めます。 MmaxはPL/4となります。 |
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この値を梁の曲げ剛性EIで割ったPL/4EIを仮想の荷重として曲げモーメント図の通りに掛けます。 | |
左右の等変分布荷重をそれぞれ集中荷重に置き換えます。PL2/8EIの集中荷重を中央に置き換えるのは、最大モーメントを求めるときに正確な値が求まらないので、右図のように必ず2つの集中荷重にします。 |
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仮想荷重のせん断力図はこのようになります。これがたわみ角となります。 たわみ角の最大は支点部分であるX=0,X=Lで |
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曲げモーメントの最大は梁中央部分となり、その値は となります。これがたわみとなります。 |
弾性曲線式を立てる解法 |
例2) 次の片持ち梁のたわみ・たわみ角を求める。
このような等分布荷重が掛かっている梁のたわみを求める場合、モールの定理ですと
モーメントが2次曲線になるので、仮想荷重を掛けた後の計算が複雑になってしまいます。
この場合は弾性曲線式による解法を使用するのが効率的です。
Xの位置における曲げモーメントは、
M=−WX2/2
モーメントが上に出ますので、ここでは負号を付けておきます。
■ たわみ角θ
ですので、
たわみ角は、支点がフィックスですのでX=Lのときθ=0となり
よって、
たわみ角が最も大きくなるX=0では、
反時計回り方向にたわむので、たわみ角がマイナスになります。
■ たわみδ
たわみ角の式を積分します。
たわみはX=Lのときδ=0ですので、XにLを代入すると
よって、
たわみが最大になるX=0では
代表的な梁のたわみ・たわみ角の式を表にしておきます。
梁 | 最大たわみ角θ | 最大たわみδ |