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部材断面の性能
ここでは、部材の許容応力度計算などで使用される断面の性能計算について見てみま
しょう。
§1 断面1次モーメント
断面1次モーメントとは、部材断面の図心を求めたりするときに使用します。
この計算は、部材の計算で使用される頻度はそれほど高くありませんが、この考え方が、
許容応力度計算とは全く別の、偏心率の時に出てくる剛心を求めるときに出てきますので、
かなり重要といえます。
断面1次モーメントは、断面の面積Aに、断面の図心から任意の軸までの距離を
乗じて求められ、記号をSで表し、単位は長さの3乗(通常cm3)となります。この時、同じ
面積であっても図心までの距離が長いほど断面としての性能を高める計算になり、それが
モーメントとほぼ同様と考えられることから、断面の(1次)モーメントという名称になってい
ます。
・計算式
X軸に対する断面1次モーメント
Sx=A・y0 (cm3)
Y軸に対する断面1次モーメント
Sy=A・x0 (cm3)
では、早速計算してみましょう。
例1)次の断面の断面1次モーメントを求める
面積A=6×4=24 (cm2)
この図形の図心は、ちょうど中央になりますので、
Sx=24×(2.5+2)=108 (cm3)
Sy=24×(1+3)=96 (cm3)
となります。この計算では、長方形の図形1つだけだったので、計算に必要な図心は
簡単に求まりましたが、複雑な図形の場合で図心がすぐに求められない場合は、図心が
求まる形に分解して、個別に計算して最後に合計します。
例2)次の断面の断面1次モーメントを求める
この場合、一度に図心を求めることができないので、図の破線のように2つに分けて考えます。 縦長の矩形の断面積をA1とすると A1=12.5×1.0=12.5cm2 横長の矩形の断面積をA2とすると A2=1.0×6.5=6.5cm2 全体の断面積A=A1+A2=19.0cm2 断面1次モーメントは、 Sx=12.5×6.25+6.5×0.5=81.38cm3 Sy=12.5×0.5+6.5×4.25=33.88cm3 となります。 |
ここから、この不等辺山形鋼の全体の図心(剛心)を求めることができます。全体の図心は、
ただ単に個別に出した図心位置の距離を平均して求まるものではありません。この断面1次
モーメントを求めることが必要なのです。
図のように、Y軸から図心までの距離をx0、X軸から図心までの距離をy0とすると、
,
となります。これで計算すると、
x0=33.88/19.0=1.78cm
y0=81.38/19.0=4.28cm
となります。
§2 断面2次モーメント
1つの部材に対し上から荷重がかかったとき、同じ断面積の部材であっても、断面が縦長に
なっているか横長になっているかで、部材のたわみ方は大きく異なります。
断面2次モーメントは、そのような断面の形状によって変わる曲げ・たわみなど、変形し
やすさの度合を数値的に表現したもので、記号はI、単位は長さの4乗(通常cm4)で表さ
れます。
計算式は、ある図形に対し軸を定めた時、図形の微少断面daと軸までの距離(xまたはy)
の2乗をかけたものが断面2次モーメントとなります。距離の2乗をかけるので、「2次モーメン
ト」という名称になっています。式にすると以下のようになります。
Ix=Σy2・da
Iy=Σx2・da
しかし、こんなことを書かれてもさっぱりわかりません。要は積分の計算になってくるのです
が、実践でいちいち積分からやっていたら大変なので、いくつかの基本的な図形は公式化さ
れています。
| 断面形状 | 断面2次モーメント |
これらは、図心(剛心)に軸がある時の断面2次モーメントです(図中のG点が図心)、断面
2次モーメントは、軸が図心を通るときが一番小さい数値となります。通常はこの公式だけで
事足ります。
例3)次の断面の、断面2次モーメントを求める。(図中の単位はcm)
| Ix=10×153/12 =2812.5cm4 |
|
| Ix=π×124/64 =324π(≒1018)cm4 |
軸が図心を通らない場合の計算は、図心を通るときの式を使用して、以下のようになります。
Ix=Ix0+A・y2
Ix:断面2次モーメント
Ix0:軸が図心を通るときの断面2次モーメント
A:断面積
y:図心から軸までの距離
例4)次の断面の、断面2次モーメントを求める。(図中の単位はcm)
Ix0=12×203/12=8000cm4 これより、 Ix=Ix0+A・y2 =8000+12×20×152 =62000cm4 |
複雑な断面の2次モーメントを求めるには、断面1次モーメントと同じように、いくつかの
断面に分けて計算します。全体の断面2次モーメントから、欠損部分の断面2次モーメント
を差し引くことも可能です。
例5)次のビルドHの断面2次モーメントを求める。
Ix=25×503/12−2×(11.9×453/12)=79685cm4 参考)ビルドHを3つの矩形に分けて計算した場合 Ix=1.2×453/12+2×(25×2.53/12+25×2.5×23.752)=79685cm4 となります。カッコ内の計算がフランジ1つ分の2次モーメントです。23.75という数値は、中心にある軸からフランジ図心までの距離です。 |
§3 断面係数
部材の曲げ応力度を求めるときに使用するのが、断面係数です。記号はZ、単位は
長さの3乗(通常cm3)で表されます。
計算方法は、図心を通る軸の断面2次モーメントを求め、軸から縁までの距離yで除します。
この断面係数の計算も、軸が図心を通る基本的な断面は公式化されています。
| 断面形状 | 縁までの距離 | 断面係数 |
| y=D/2 | ||
| (上部) y=2D/3 (下部) y=D/3 |
(上部) (下部) |
|
| y=D/2 |
複雑な断面の断面係数を求めるときは、まず断面2次モーメントを算出して合計し、
最後に縁までの距離を除して求めます。直接、断面係数を加減算することはできま
せん。
例6)ビルドHの断面係数を求める。断面は例5と同じ。
例5より、Ix=79685cm4 軸から縁までの距離y=50/2=25cm Z=79685/25=3187cm3 参考)断面係数を直接、加減算してしまうと…… Z=25×502/6−23.8×452/6=2384cm3 となります。 これは、減算している欠損部分のyの取り方がビルドH本体部分と異なっているためで(縁までの距離を45/2=22.5で計算している)、以下のように計算しなおすと、 Z=25×502/6−(23.8×452/6)×22.5/25=3187cm3 と、正しい値が求められます。 |
§4 断面2次半径
部材の材軸方向に圧縮力をかけた場合、座屈する恐れがあります。この座屈のしやすさ
を表したものが断面2次半径です。この値が大きいほど、座屈に対して抵抗力があります
(座屈しにくい)。主に鉄骨造での部材計算時に使用します。記号はi(小文字のアイ)、
単位は長さの1乗(通常cm)で表されます。
i: 断面2次半径(cm)
I: 断面2次モーメント(cm4)
A: 断面積(cm2)
※断面2次モーメントIや断面係数Zは、強軸方向に曲げなどの応力がかかるために
強軸方向の計算だけで済むことが多いのですが、断面2次半径では、弱軸方向の
計算も重要になります。座屈は、横補剛などの条件が同じであれば、弱軸の方向に
発生するためです。
例7)ビルドHの断面2次半径を求める。断面は例5と同じ。
例5より、Ix=79685cm4 断面積は、 A=1.2×45+2×25×2.5=179cm2 参考)弱軸(Y軸)方向の断面2次半径を求める。 Iy=2×(2.5×253/12)+(45×1.23/12) =6517cm4 |