2011年4月21日10時15分
中韓両軍は留学生を交換する方向で最終調整に入った。韓国の金寛鎮(キム・グァンジン)国防相が5月に訪中し、中国の梁光烈国防相との会談で合意を目指す。李明博(イ・ミョンバク)政権が進める対中重視外交の一環とみられる。韓国はこれまでアジアでは例外的に台湾の軍事交換留学生を受け入れてきたが、廃止する見通し。
安全保障分野での協力は軍の高官交流から始まり、軍事交換留学などを経て信頼関係を積み上げ、共同演習などに発展させていくのが通例。中韓軍事協力の進展は、「血盟」と表現される中朝の同盟関係にも影響を与えそうだ。
韓国軍が中国軍留学生の受け入れを目指しているのは、中部の大田市にある陸海空3軍の各大学。少佐級が1年間、戦術や北朝鮮軍の概況などを学ぶ。早ければ今年中の受け入れ開始を目指している模様だ。
韓国は中国との国交樹立が1992年と遅かったこともあり、これまで台湾軍の留学生を受け入れてきた。一方で、李政権は2008年、中韓関係を国交樹立後、最も緊密な関係と位置づける「戦略的協力関係」に格上げし、安全保障分野での関係強化も模索していた。
これに対して中国側は、軍事交換留学を実現させる条件として台湾軍との軍事交換留学の廃止を繰り返し要求。韓国側は数年前、台湾軍留学生の制服通学を認めない措置を取るなど、妥協点を探っていた。(ソウル=牧野愛博)