DOL特別レポート
【第163回】 2011年4月20日
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「政府発表を鵜呑みにせず自分の身は自分で守れ」
チェルノブイリ事故処理班の生存者が語る
凄惨な過去と放射能汚染への正しい危機感

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鉄条網に囲まれた放射線危険区域内で作業していた当時35歳のナタリア・マンズロヴァさん

――チェルノブイリの事故処理作業はどのように進められたのか。

 チェルノブイリ事故では原子炉の建屋や制御室が爆発炎上し、大量の放射能が放出された。崩壊した原子炉の事故処理作業には軍隊の他、刑務所を釈放された囚人などの作業員が大量動員された。放射線量が高すぎて、1分以上作業を継続できないような場所もあった。

 私たち科学者チームは汚染地域内のあらゆる場所の放射線量を測定したが、線量が高すぎて機器が壊れてしまい、軍用の測定器を使った。

 危険ゾーン内ではアパートやオフィスビル、家具などあらゆるものが大量の放射能に汚染されたため、作業班はこれらを解体して軍用トラックで運び、地面に埋めた。軍人のなかには放射線量が高すぎる場所での作業を拒否する者もいた。

 また、近くには青々と茂った松林があったが放射能を浴びて赤く枯れ、まさに「レッドフォレスト」と化した。汚染された松林から放射性物質が漏れないように、ヘリコプターで空から大量の特殊接着剤が撒かれた。

 福島でも事故処理作業が進められていると思うが、日本は狭い国なので放射能汚染されたものをどこに埋めるかも今後の課題になるかもしれない。

――放射能汚染地域での作業は健康被害が心配だが。

 作業を始めてしばらくして、科学者チームメンバーのほとんどが体調不良を起こした。インフルエンザにかかったときのように高熱が出て体が震え、全身の筋肉が痛んだ。また、突然の眠気に襲われたり、異常に食欲が増して常に何かを食べていないと我慢できないような状態になったりした。体のなかの良い細胞がどんどん減り、悪い細胞が増殖しているのを実感した。

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