2011年4月22日10時42分
いったん波が引き、2分後に向かいの岬に白波が立った=3月11日午後3時18分ごろ、岩手県宮古市川代地区、大上幹彦さん撮影、岩手県立博物館提供
東日本大震災で岩手県宮古市を襲った津波の速度が、時速115キロに達していたとみられることが、岩手県立博物館の大石雅之首席専門学芸員の分析でわかった。
大石さんは、植物研究者の大上幹彦さんが宮古市川代地区で撮影した約70枚のデジタルカメラの撮影データを調べた。地震発生後約23分で潮位が高くなり始め、その7分後にいったん波が引き、さらに2分後には激しい津波が押し寄せていた。
この激しい波は、連続撮影の記録から、約800メートル離れた岬から岸まで約25秒で到達していたと割り出した。高速道路の制限速度よりも速い時速115キロにあたる。
大石さんが震災後に現地を訪れたところ、家屋はほとんど流されていた。「第一波の後、自宅にものを取りに帰るなどした人たちが次の大きな津波で犠牲になったのかもしれない」と大石さんは話した。(松尾一郎)