ＪＲ西が申告漏れ１０億円　補修費を一括計上　国税指摘

　ＪＲ西日本が大阪国税局の税務調査を受け、２０１０年３月期までの数年間で約１０億円の申告漏れを指摘されたことがわかった。追徴課税（更正処分）は約３億円。また、グループ会社の建築会社「ジェイアール西日本ビルト」（兵庫県尼崎市）も０９年１２月期までの３年間で約４３００万円の申告漏れを指摘され、うち約３４００万円が所得隠しと認定されたという。

　関係者によると、ＪＲ西は駅舎などの設備補修費が修繕費にあたると判断し、損金として一括計上した。これに対し大阪国税局は、設備補修費は耐用年数に応じて分けて計上すべき「資本的支出」にあたるなどと指摘した。

　ＪＲ西の担当者は朝日新聞の取材に「個別の税務調査の詳しい内容は答えられない」としている。ＪＲ西は過去にも、０４年３月期までの２年間で鉄道設備の修繕費などをめぐって法人所得約５億５千万円の申告漏れを指摘されている。ＪＲ西の１０年３月期の単体売上高は約８１６０億円。

　一方、ビルト社は０７〜０８年にＪＲ久米田駅（大阪府岸和田市）のエレベーター関連工事を手がけた際、下請け会社に追加工事費を支払う必要が生じた。追加工事費を支払うと赤字が出るために一部を別の工事代金名目で払ったが、下請け会社は別の工事に関わっておらず、国税局は「仮装経理にあたる」と認定したという。

　ビルト社の追徴税額は約２千万円。同社は朝日新聞の取材に「見解の相違があったが納税した」としている。（瀬戸口和秀）