ソウル−名古屋 後半、ドリブルで攻め上がる吉田(中)。左後方は永井=4月19日、韓国・ソウルで
|
|
名古屋グランパスは21日を休養日にし、Jリーグ再開の浦和戦(24日・埼玉)に向けて英気を養った。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)でF組首位に浮上した19日のFCソウル(韓国)戦で公式戦初先発、先制点を導く活躍をみせた流経大柏高卒のルーキーMF吉田真紀人(18)は、次はJ1デビューで未知の舞台へ踏み出す。
うなだれてピッチを退いた吉田は、ストイコビッチ監督と握手を交わした。プロ初先発で現状の力を出し尽くした充実感と、まだやり残したという気持ちが入り交じった。FCソウル戦の後半31分、1人目のカードとして磯村と交代した。自身は「明らかに最後はパフォーマンスが落ちた。もっとスタミナをつけないと」と、90分間フル出場できるフィジカル強化を誓った。
実は試合前、初の海外試合での重責に緊張はピークに達していた。ただDF闘莉王から「攻撃でうまくいかなければ守備で頑張ればいいから」と声をかけられ、少しだけ気持ちを楽に試合に入ることができたという。
6日のFCソウル戦(瑞穂陸)でプロデビューした吉田は、12日のアルアイン戦(同)にも途中出場。初のアウェー戦となった19日のソウル戦では初先発を果たした。着実にステップアップしているが「満足したら終わってしまう」と、さらに上昇を目指す。
高卒ルーキーがACLで先発したのはグランパスでは初めての快挙だ。J1での先発となると2007年のDF吉田麻也(現オランダ・VVVフェンロ)以来となる。
ただ、試合では鋭い目つきになる吉田もピッチを離れると、ごく普通の18歳。運転免許取得中のため、福岡大卒ルーキーのFW永井らの車に同乗し、寮と練習場を往復する。置き去りにされそうになっては「待ってください」と、慌てて先輩の車を追いかけている。
Jリーグ再開で、吉田にとってもACLとは違う戦いが始まる。3月5日の開幕戦(対横浜M・豊田)のころは入団前に負った左足甲の骨折のためリハビリ中で、ベンチメンバーにすら入っていない。「Jリーグは初めてなので楽しみ」。大きな目を輝かせた吉田は、成長の歩みを止めない。 (伊東朋子)
この記事を印刷する