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【社会】

津波浸水地 余震、がれきと闘い 居残る海水 排出着々

2011年4月22日 朝刊

 東日本大震災による津波で、東北の太平洋沿岸は広範囲にわたって浸水した。陸上に残った一億立方メートルを超す大量の海水は、捜索活動、物資の輸送、がれき撤去の妨げとなっていたが、排水作業が急ピッチで進展。国土交通省によると今月末で排水は完了する見通しだ。 (比護正史、佐藤大)

 「早く海水を抜いて、普通の生活に戻す手伝いをしたくて」

 津波で一面海のようになった宮城県東松島市宮戸地区。派遣された北海道開発局の職員ら九人が、ポンプ車三台で排水作業に当たっていた。直径二十センチのホース二十本をつなぎ毎分百五十立方メートルの海水を道路一つ隔てた海に勢いよく噴き出す。

 もとは海沿いに家屋や水田が広がっていた。津波で風景は一変。十九日時点で二十四万立方メートルの海水に覆われ、車が点々と水面に出ている。濁っていて深さは分からない。

 作業は、余震による津波を警戒しながら、二十四時間態勢で実施。排水が終わると、自衛隊が遺体の捜索に入る予定という。

 国交省は航空写真に基づき、三月十三日時点で、被災地の陸上に残った海水は約一億一千二百万立方メートルと推計。全国の地方整備局などに配備している排水ポンプ車百台以上を岩手、宮城、福島県の九市五町に投入した。

 今月十四日までに、二十五メートルプールで約九万二千杯分に当たる約三千四百万立方メートルを排水した。自然排水と作業によって、残りは当初の8%に相当する約九百万立方メートルにまで減少している。

 国交省河川局の担当者は「通常は水が集まる低地にポンプ車を置き排水するが、地震で地形が変化して判別できなかったり、排水路が、がれきで埋もれている場所もあり思うように進まなかった」と難航した作業の様子を説明する。道路が寸断されポンプ車が入ることができない場所も多く、堤防が決壊した場所は土のうで補修しながら作業に当たった。

 特に河口付近での作業は危険と隣り合わせ。余震で津波警報が出るたびに、作業員は避難を余儀なくされる。担当者は「全員が無事に撤収できたかどうか、日々、確認に追われている」と打ち明けた。

 

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