総務省所管の独立行政法人・情報通信研究機構は21日午後、電波時計の時刻を自動的に修正する電波を送っている福島県内の施設を復旧させた。この施設は福島第1原子力発電所の事故の影響で東日本大震災直後から電波の送信を停止し、東日本の広い地域で電波時計に誤差が生じやすい状態が続いていた。
送信を再開したのは「おおたかどや山標準電波送信所」(福島県田村市)。福島第1原発から約17キロメートルの距離にあることから3月12日に職員全員が避難し、電波の送信を停止していた。情通機構は21日、特別の許可を得て一時的に職員らを派遣し、午後1時54分に電波の送信を再開させた。
職員は送信再開後、再び避難した。常駐しないため、送信所に落雷や停電が起これば電波送信が再び途絶える可能性は残るという。
情通機構の電波送信所は福島県と福岡・佐賀県境の2カ所にあり、電波の届く距離は1000キロメートル程度が目安。福島県の送信所の停止で電波が入らなくなった東北・北海道では時刻を自動修正できず、関東地方は電波が入ったり入らなかったりする状態だった。
電波時計は「標準電波」という電波を受信し、時刻を自動修正する。電波の誤差は10万年に1秒程度とされる。セイコーウオッチやシチズン時計など各社が販売しており、日本メーカーの国内出荷では2010年に腕時計で約4割、置き時計などで約6割(いずれも金額ベース)を占めた。
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