広瀬隆が警告
原発破局を阻止せよ! 食物連鎖で濃縮 放射能の危険な罠
(週刊朝日 2011年04月08日号配信掲載) 2011年3月31日(木)配信
恐れていたことが現実になってしまった。3月24日、福島第一原発3号機のタービン建屋の地下室でケーブルを敷設中の作業員3人が大量の放射線を浴び、病院に運ばれました。うち2人は足にやけどの症状が出るベータ線熱傷が起きる可能性があるといいます。
線量計のアラームが鳴っても作業を中断しなかったというのは、放射線についての十分な説明を受けていなかったからだと思われます。私が危惧していたのはこの点で、東京電力のデタラメな放射能管理が招いた、許されない人災です。
被曝を受けた深さ15センチほどの水の放射能レベルは、原子炉の燃料棒を冷やす冷却水の約1万倍にも達していました。燃料棒から出てきた放射性物質そのものが混入しているのは確実です。燃料棒が溶融し、地震と水素爆発などで破損した配管から大量の危険物が流れ出している可能性が高い。1号機のタービン建屋の地下の水たまりでも同レベルの放射能が検出され、2号機でも同様の汚染が起きていると見られます。
1号機に次いで3号機で建屋を吹き飛ばす水素爆発が起きたとき、枝野幸男官房長官は格納容器は健全だとして、「放射性物質が大量に飛び散っている可能性は低いと認識している」と強調しましたが、格納容器や配管系統が損傷したことは間違いないでしょう。
さらに、使用済み核燃料のプールを冷却するために大量の海水が放水車から注ぎ込まれていますが、あれは何千トンもの海水で原子炉を洗ってきたので、多くが目の前の海に流れ出しています。すでに海水から放射性物質が検出されており、海の大汚染が確実に広がっています。
バックナンバー記事
- トラウマ女子大生いたのに!わいせつ犯釈放した地検の罪 (週刊朝日 2011年4月14日(木))
- 福島原発 3度目の水素爆発の危険性 推進派からも「政府は無策」と批判の声 (週刊朝日 2011年4月14日(木))
- 見る前に知っておきたいパンダトリビア20 (週刊朝日 2011年4月6日(水))
- 神田うののパパは“原発官僚” 義援金1千万円は「罪滅ぼし」か (週刊朝日 2011年4月6日(水))