東日本大震災

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東日本大震災:地震保険支払い1859億円 東北は3万件

被災者への対応に励む損害保険ジャパンの宮城災害対策本部=仙台市宮城野区で、2011年3月30日(同社提供)
被災者への対応に励む損害保険ジャパンの宮城災害対策本部=仙台市宮城野区で、2011年3月30日(同社提供)

 日本損害保険協会は21日、東日本大震災を受けて損保各社が20日までに支払った地震保険の保険金が12万4734件、1859億7800万円に達したと発表した。日本損害保険協会の鈴木久仁会長(あいおいニッセイ同和損害保険社長)は少なくとも4000億円に上るとの見通しを示したが、被災者からの請求などが今後本格化すれば、「1兆円規模に達する」との見方も根強い。損保各社は手続きの迅速化に努めているが、請求につながる被害連絡は42万件で、実際支払ったのは12万件。うち東北地方は3万件にとどまっている。【和田憲二】

 「一日も早く保険金を支払うため最大限、努力している」。損害保険ジャパンの宮城災害対策本部(仙台市)責任者の木村彰宏さん(42)は強調する。36台の電話には、地震保険の契約者から多い日で1日900件の被害連絡が入る。「自分が契約しているか確認したい」「新たに加入したい」といった問い合わせも含めると1500件が殺到する日もある。全国から派遣された社員や鑑定人ら500人超で必死に対応するが「人員は足りず」(木村さん)、週明けに約100人を増員する予定だ。

 地震保険金は被災者の生活や事業再建のカギを握る。損保各社は航空・衛星写真を利用して「全損」地域を一括認定し、ホームページに市町村名などを掲載。被害の小さい「一部損」家屋も本来必要な立ち会いを省略するなど、支払いの迅速化に懸命だ。保険金を受け取るには契約者から保険会社に連絡する必要があるため、避難所に連絡先を記載したポスター8万枚を張り出し、代理店が契約者を一軒一軒訪問するなどして請求を呼びかけている。

 被害連絡42万2236件のうち、被害の大きい東北地方は約19万件と半数に満たない。「身の回りの生活再建を優先した結果、請求が遅くなっている」(同協会の鈴木会長)ためだ。さらに、同地方の支払件数は全体の4分の1(約3万件)に過ぎない。これは、被災地で家が全半壊し、住所が特定できない場合や、がれきや復旧作業に伴う交通規制などで幹線道路が封鎖され、郵便が届かず、「必要書類のやりとりに時間がかかる」(大手損保)ためだ。手続き簡略化で早く保険金を受け取って喜ぶ契約者がいる一方、「いつ損害調査に来るのか」と支払いを待つ契約者も少なくないという。

 さらに、被害連絡さえできない被災者もいるとみられ、保険金需要がこれから本格化するのは確実だ。

 損保協会によると、95年の阪神大震災(保険金支払額783億円)では発生後2カ月で大半の支払いを終えたものの、今回はすべての支払いを完了するメドについては「行方不明者も多く、何とも言えない」(鈴木会長)。各社は業界を挙げた一段の取り組みを進める構えだ。

毎日新聞 2011年4月21日 21時44分(最終更新 4月21日 23時16分)

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