市民が決めた新名物―桑名流!しぐれ肉巻きおにぎり
東海道五十三次の宿場町や物流の要衝として、独特の食文化が栄えた三重県桑名市。「桑名流!しぐれ肉巻きおにぎり」=写真=は、地元の若手有志が新たな名物を発掘しようと開催した大会で、市民が考案し、一般投票によってグランプリに輝いた。市内の協力店で提供され、観光客にも親しまれる“ご当地グルメ”を目指している。
作り方は、名産のアサリの時雨煮をまぜ込んだご飯で俵型のおにぎりを作り、豚肉を巻く。それを熱したフライパンで色が付くまで焼き、しょうゆや酒、はちみつを合わせた甘辛いたれとからめる。
「時雨ご飯は学校給食の定番メニューで、市民の多くが親しみを持つ地元の味なんです」と話すのは、同市観光課の長奈保子さん。たれの隠し味に時雨煮のたまりを加えるのも良いという。
この新名物が誕生したきっかけが、平成22年10月に開かれた「くわなめしグランプリ」。同市観光協会や同市商店街連合会の青年部、市若手職員らでつくる実行委員会(水谷文人委員長)が、桑名らしい料理の考案を県内外に呼び掛けて、丼やすしなどご飯類を中心にめん類、スイーツなど109点が集まった。
桑名を代表する祭りの一つ、石取祭にゆかりのある食材を使った「石取ドン丼」や「旨みたっぷり!しじみチャウダー」など5品が1次、2次審査を通過して、一般が試食する本選へ進んだ。
当日は予想以上の反響で、開場前から長蛇の列。全品を試食できる400セットが振る舞われ、割りばしを票に見立てて投票を。2位の「桑名の殿さん焼売」に40票差だった。
考案したのは市内に住む栄養士の伊藤忍さん。なじみある時雨ご飯を肉で巻いたことで、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層に支持された。
現在は飲食店やホテルなど12の協力店で提供、1個当たりの価格は300円ほど。おにぎりの形や肉の種類はアレンジが可能で、店ごとの味も楽しめる。
同課の駒田保課長は「食文化が栄えた桑名の新名物として広めていきたい。多くの人にお越しいただくきっかけになれば」と話している。取り扱う店舗が増えれば、グルメマップを作成する予定。問い合わせはTEL0594(24)1231