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脳死移植:15歳未満初提供 阪大病院長「命つないだ」 心臓提供者、両親に謝意

 改正臓器移植法に基づき国内で初めて15歳未満で法的脳死と判定された、10代前半の男子からの提供臓器は13日、全国5病院に搬送され、移植手術が進められた。大阪大病院では手術終了後、福澤正洋院長や澤芳樹教授(心臓血管外科)らが会見。手術は午前6時31分に開始され9時13分には心臓の拍動が再開、11時47分に手術を終えた、という。福澤院長は「臓器提供をいただいたお子さまやご両親に深く感謝しています。無事手術が終了し、命をつなぐことができた」と手術の成功を報告した。

 会見では、心臓の搬送に使われたクーラーボックスに透明の袋に入った金と銀の折り鶴が張り付けられていたことが明かされた。ドナー(臓器提供者)の家族が、日本臓器移植ネットワークのコーディネーターを通じて託したものだといい、鶴には「手術の無事成功をお祈りします」と書かれていた。

 移植を受けたのは10代後半の中国地方の男性。4年前から心不全の症状が出始め、拘束型心筋症と診断された。手術前には「頑張ります」と笑顔を見せていたという。今後、経過が良ければ1、2カ月で退院できるという。【曽根田和久、林田七恵】

 ◇全国5病院に搬送 東京、北海道でも成功

 提供された臓器のうち、片方の腎臓は新潟大病院で40代男性に移植される予定だったが、男性側の医学的理由で手術を断念。東京女子医大病院で60代男性に移植され、同日午後4時ごろ、無事終了。肝臓は北海道大病院で20代男性に移植され同日午後6時過ぎ、無事終わった。患者の容体はいずれも安定しているという。

 膵臓(すいぞう)ともう片方の腎臓は藤田保健衛生大病院(愛知県)で30代女性への移植手術が行われた。両肺は、この日運航が再開したばかりの仙台空港に空路で到着し、50代女性への移植のため東北大病院に搬送された。【藤野基文】

毎日新聞 2011年4月14日 東京朝刊

 

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