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子ども臓器移植 情報公開が国民議論深める2011年4月14日  このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録

 昨年7月に改正臓器移植法が施行されて初めて、15歳未満の子どもが法的に脳死と判定され、家族の承諾を得て臓器移植が行われた。
 心臓移植でしか完治できない拘束型心筋症を患っている要美優さん=神森中=のケースで県民に広く知られたように、子どもが心臓や肺などの移植を受けるには海外渡航の道しかなかった。
 そのことを考えれば、日本の移植医療の大きな転換点であり、新たな一歩だ。
 一方で、臓器移植の承諾に至った経緯など情報公開の課題を浮き彫りにした。
 改正法の施行以降、家族承諾による大人の臓器提供は38例あったが、子どもの提供は施行約9カ月で今回が初のケースだ。子どもの場合、脳の回復力が強く、脳死判定に慎重な手続きが求められる。加えて虐待を受けた疑いがないことを確認するなどの厳しい要件があり、病院などの対応が容易ではないことが影響したのだろう。
 日本臓器移植ネットワークは今回、臓器提供した15歳未満の男子が事故に遭った状況や虐待の有無の確認方法、家族への説明の仕方などについて「プライバシーに配慮」「家族の意向」などを理由に詳細を公表していない。
 男子の脳死判定、臓器移植を承諾した親は「身体を役立てることが彼の願いに沿う」との談話を出した。本人は生前に書面や口頭で意思表示をした訳ではない。
 脳死と判定され、臓器を提供する人と家族の権利、思いに十分配慮しなければならないのは当然であり、プライバシー保護は重要だ。
 しかし、多くの人が関心を寄せるのは、男子の個人的な事情ではない。脳死判定について家族に十分な説明がなされ、誘導などなく適切だったのか。家族が何を考え、承諾に至ったのか。その経緯の詳細が知りたいのだ。
 多くの人がそのことを知り、共感することによって、臓器移植を自分の身近な問題として捉えることができる。情報公開が臓器提供への理解を広げ、国民的な議論を深めていくことにつながる。
 同ネットは今回を機に「15歳未満の臓器移植の広がり」を期待している。そのためにはまず、丁寧に状況を説明し、情報公開を進めながら、事例を積み重ねていく姿勢が求められている。今回のケースの徹底的な検証は、移植医療の信頼性確保のためにも重要だ。


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