脳死と判定された10代前半の男児から心臓や肺などを取り出し、10~60代の患者5人に移植する手術が14日に終わった。昨年7月に施行された改正臓器移植法に基づき、15歳未満の子どもが臓器移植の提供者になったのは国内で初めてだ。
心臓や腎臓などに重い病気をもち、他に治療法がない子どもたちにとって、移植は有効な手立てだ。それには大人よりも小さな臓器が要るが、法改正以前は海外に渡って手術を受けるしかなかった。国内で移植を待つ子どもを救うため、これを新たな出発点にしてほしい。
民法の規定では、15歳未満では本人の意思は法的に有効でなく、それが子どもの脳死判定や臓器提供を阻んできた。しかし移植法の改正により、本人があらかじめ拒絶の意思を示していない限り、家族が承諾すれば臓器を提供できるようになった。
今回、臓器を提供した男児は交通事故で頭に重い傷を負った。主治医が両親らに臓器提供の選択肢があると説明し、移植を待つ患者との仲介役である移植コーディネーターが計3時間半かけて、家族の意思を確かめたという。
子どもの臓器移植では家族が十分な情報と丁寧な説明を受け、自由な意思で判断することが不可欠だ。虐待死でないことの確認も要る。今回は一通りの手順は踏んだとみられるが、家族が同意するまでの詳しい経過には、なお不明な点も残る。
細川律夫厚生労働相は家族が承諾した経緯などを改めて検証するという。子どもを突然失った家族にとって、つらい決断だったに違いない。しかし医師らがいつ、どこで、どんな言葉で説明し、家族はどのように納得したのか。少なくともその概要は開示し、経緯をきちんと検証してほしい。
子どもの移植医療を広げるだけでなく、大人の脳死移植への理解を深めるためにも、それは必要だ。
改正法の施行まで年平均で6例程度だった脳死移植は、改正後の9カ月で42例まで増えた。だが脳死を的確に判定できるかと戸惑う医師が少なくない。移植コーディネーターの不足も指摘されている。人員の養成や研修制度の拡充など、移植医療を支える体制の充実も欠かせない。
臓器移植、細川律夫、コーディネーター、移植、脳死、手術、交通事故、判定、男児
日経平均(円) | 9,685.77 | +78.95 | 21日 大引 |
---|---|---|---|
NYダウ(ドル) | 12,469.74 | +16.20 | 21日 11:15 |
英FTSE100 | 6,011.85 | -10.41 | 21日 16:15 |
ドル/円 | 81.78 - .80 | -0.29円高 | 22日 0:09 |
ユーロ/円 | 119.14 - .18 | -1.01円高 | 22日 0:09 |
長期金利(%) | 1.225 | ±0.000 | 21日 16:14 |
NY原油(ドル) | 111.45 | +3.30 | 20日 終値 |
経済や企業の最新ニュースのほか、大リーグやサッカーなどのスポーツニュースも満載 詳細ページへ
日経ニュースメール(無料)など、電子版ではさまざまなメールサービスを用意しています。
(詳細はこちら)