河北抄

 グッドタイミングだった。まるで手術に合わせたかのように、仙台空港が運航を再開した。復旧がもうしばらく遅れていたら、こううまくは運ばなかったかもしれない。
 交通事故で頭にけがをした少年が脳死と判定され、国内で初めて15歳未満の子どもの臓器移植が行われた。

 東北大病院では、50代の女性に左右の肺が提供された。医療チームは、脳死判定が行われた関東甲信越地方の病院で臓器を摘出。チャーター機で、仙台空港に搬送した。
 空港は震災による津波で、滑走路やターミナルビルが浸水するなど、大打撃を受けた。一部復旧工事を終え、おととい運航を再開したばかり。チャーター機は、羽田からの再開第1便に先立って到着し、緊急車両で病院に運ばれたという。

 病院も、研究室や手術室などに大きな被害が出た。18室ある手術室のうち、手術可能なのは2室だけのこともあった。フル稼働が始まったのは、今月に入ってからだ。
 運を信じたくなる命のリレーだった。だが、それを引き寄せたのはほかでもない、一刻も早くと復旧に努めた人間の力である。

2011年04月15日金曜日

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