USB 3.0は、従来との互換性を極力維持しながら高速化を図った高速シリアル・インターフェイスである。USB 3.0の設計目標は、従来のUSB 2.0との互換性を重視しつつ、大幅な高速性や使いやすさを実現することにある。その主な特徴は次のとおりである。それぞれの具体的な仕様などについては、関連記事も参照していただきたい。
■従来との互換性の重視
USB 3.0では通信速度を大幅に向上させることになったが、従来のUSB 2.0のケーブル仕様では高速な信号を伝送できないという問題があった。使用している電線の特性がよくないし、シールドがなくノイズに弱い、信号の伝送方式が高速通信に向かない、などといった理由からだ。そこで高速な信号伝送に適した、シールド付きの信号線を新たに導入することにした。また、従来は送信と受信を同じ2本の(シールドなしの)信号線で行っていたが(送信と受信を切り替えながら使う半二重通信方式)、USB 3.0では送信と受信用に別々の信号線ペアを用意して全二重通信を行っている。このような物理的な改良や信号伝送方式の変更などにより、5Gbit/sという高速な伝送を可能にしている(全二重で通信できるので、実質的には最大10Gbit/sの伝送が可能。詳細は関連記事参照)
信号線
USB 2.0ケーブル
USB 3.0ケーブル
信号線の意味
VBUS
USB 2.0用信号線
USB 3.0信号線
バス・パワー
D+
差動信号Data+
D−
差動信号Data−
GND
バス・パワー用接地
SSTX+
−
SuperSpeed送信差動信号+
SSTX−
−
SuperSpeed送信差動信号−
SSRX+
−
SuperSpeed受信差動信号+
SSRX−
−
SuperSpeed受信差動信号−
GND
−
USB 3.0用信号接地
USB 2.0と3.0の信号の違い
USB 2.0では4本しか使用していなかったが、USB 3.0ではさらに5本の信号線を追加している。送信と受信で別々のシールド付き信号線ペアを使うことにより、通信速度を5Gbit/sに高速化するだけでなく、全二重通信も実現している。これ以外にも、周辺機器側から電源を供給する線(電源線)やマイクロ・コネクタ用のID信号線が使われることもある。
USB 3.0ではこのようにまったく別の信号線を追加しているため、システム・アーキテクチャ的には次のように、USB 2.0とUSB 3.0が同居する形になっている。USB 2.0以下で通信する場合は図中の赤線のように接続されるが、USB 3.0で通信する場合は青線のように、まったく別のパスが利用される。この2つは同時に利用されることはなく、接続された相手先に応じて使い分けられる。
USB 3.0のデュアル・バス・アーキテクチャ
USB 3.0の仕様書「Universal Serial Bus 3.0 Specification」資料より引用(仕様書は「USB 3.0 Specification[英語](USB Implementers Forum)」よりダウンロード可能)。USB 3.0は、従来のUSB 2.0のバス(図中の赤線)はそのままに、新しくSuperSpeed用のバス(図中の青線)を追加した、デュアル・バス・アーキテクチャを採用している。一番上がPC側(ホスト側)、真ん中がUSBハブ、そして一番下が周辺機器である。USB 3.0(SuperSpeed)を利用するためには、上流から下流まで、すべての部分でUSB 3.0がサポートされていなければならない。途中にサポートしていない機器やケーブルがあると、USB 2.0モードで動作する。