2011年04月20日

◆ 放射性物質の量(その真相)

 放射性物質の量は(原発周辺を除けば)たいしたことはない、と思われている。しかしその数値は妥当でない。正しい値は、その数十倍だ。

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 放射性物質の量はたいしたことはない、と思われている。原発周辺はともかく、そこを除けばたいしたことはない、と思われている。実際、飯舘村では、多くの人々がまだ暮らしている。ここでは、危険度が基準値のギリギリであるため、「まだ大丈夫」という政府側の見解と、「危ないぞ」という孫正義などとの意見が、対立している。

 しかし、である。実は、そこで検出された数値は、そのまま信じるには足りない。真実の値は、その数十倍だと思った方がいい。

 なぜか? その理由は、風向だ。風向が西風であるせいで、放射性物質の大部分は、東の太平洋に逃げてしまっている。

movie.png
放射性物質の拡散図(動画) 転載図

 つまり、いくらか低めの数値が観測されているとしても、現実に放出されている放射性物質は、はるかに多い。ただ、その大部分が太平洋上に逃げてしまっているので、被害を免れているだけだ。実態ははるかにひどいのだ。

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 「それでも風向きが西風だから大丈夫。現実には大丈夫」
 と思っている人が多いようだが、それも覆されることになった。ドイツ気象局による予想では、4月21日には風向が変わって、放射性物質が直撃する。
  → zakzak

 このページには静止画があるだけだが、元の動画を示すと、下記だ。(クリックして拡大)

sonder0420.gif
( → 出典

 つまり、かなり濃い放射性物質が仙台を直撃する。東京にも(濃度がいくらか薄ぎつつも)直撃する。要するに、それまでとは違って、圧倒的に濃い放射性物質が直撃する。

 この図だけでは信頼性が薄いと思うのであれば、次の予想図もある。
  → ノルウェー気象研究所から放射性物質拡散予測データ (21日〜22日)

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 これまでは、福島原発について漠然とした不安感があっただけだったが、その不安がまさしく現実化することになるのだ。悪夢が正夢となる。

 これについて、興味深いことを言った人がいる。
 国民がしっかりと原発と対峙し、確実に存在するリスクを見極め……れば、少なくとも原発に対する漠然とした不安は解消される筈である。
( → アゴラ
 この人の考えでは、「原発のリスクは漠然たる不安であって、現実にはたいしたことはない」と言いたいのだろう。しかし、である。「確実に存在するリスクを見極めれば、少なくとも原発に対する漠然とした不安は解消される」というのは事実だが、「漠然とした不安」が消えるかわりに、「明確化した不安」が押し寄せるのだ。悪夢が正夢となることで。

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 さて。私が言いたいことは、「怯えよ、パニックになれ」ということではない。勘違いしないように。

 私は常に物事の本質を考える。とすれば、ここでなすべきことは、こうだ。
 「漏れっぱなしになっている放射性物質を、さっさと閉じ込めよ」


 そのための方法も、すでに示してある。「水素ガスを処理する方法(拡散させないために)」と称して、次の方法を示した。
 「スタティックミキサーで、水素ガスを水と混合して、水に封入する」

  ( → メルトダウン対策を取れ

 私がこの方法を提案したのは、3月15日だ。それから1カ月以上もたったのに、放射性物質を閉じ込める方策はまったく採られていない。ガスはずっとダダ漏れの状態だ。(東電や政府は、汚染水を処理することばかり考えて、ガスを閉じ込めることを考えていない。)
 そして、このように「ガスがダダ漏れ」という状態が続いた結果として、「ガスが拡散されて仙台や東京を直撃する」という状態になったわけだ。
 この悲劇(?)は、不思議でも何でもない。私が 3月15日に指摘したとおりだ。そして、「そうならないように」と対策も記した。なのに、その対策を、誰も取らなかった。だから、私が警告したように、放射性物質を含むガスが押し寄せてきたのだ。
 
 「こうなる」と予告されたことが、まさしく予告通りに、実現するわけだ。それだけのことだ。
 私としては、「怯えるな、パニックになれ」とは言わない。むしろ逆だ。「放射性物質まみれになるとしても、それは自ら選んだ選択だ。そうなるとわかっていて、あえてそれを選んだ結果だ。自らの運命と信じて、甘受せよ」と言おう。

 ま、お金があったら、日本脱出をするのが賢明だが、……日本人が一挙に逃げるだけの飛行機はない。諦めて、放射能を浴びましょう。

( ※ 人々が何かできるとしたら、せいぜい、コンクリートの建物に閉じこもっていることだ。あるいは、木造の建物でもいい。なるべく戸外に出ないようにしよう。そのくらいだ。地獄に落ちる時間を少しだけ遅くするようなものか。)



 【 参考 】

 ついでにもう一つ。
 今回の事例は、福島の原発だった。この場合は、まだマシだ。
 問題は、浜岡の原発だ。浜岡は、東京に近く、しかも、東京の西にある。浜岡原発で同じことが起こったら、高濃度の放射性物質が東京や横浜を直撃する。しかも、西風のせいで、毎日毎日、途絶えることなく放射性物質が押し寄せる。集中攻撃だ。
 そうなったら、東京はもはやおしまいだ。東京も神奈川も千葉もおしまいだ。日本は破滅する。福島の場合には、日本各地の人々が福島の人々を助けてくれるが、首都圏が破滅したら、もはや誰も助けることはできない。日本そのものがおしまいになる。

 では、浜岡は、どのくらい危険か?
 枝野は「止めても止めなくても、どっちみち危険だから同じことさ」と述べている。( → 出典 ) ……これは、「歩道を歩くのも車道を歩くのも、どっちも危険だから、あえて車道を歩きます」と言っているようなものだ。どうやら、頭が放射能で狂ってしまったようだ。
 
 中電は、「堤防を高くしているから、津波が来ても大丈夫」と弁明している。だが、浜岡が危険なのは、津波じゃない。直下型の地震だ。それに対する対策が全然できていない。(そもそも、今はまだ堤防ができていない。それなのに、原発を止めていない。)

 浜岡原発の危険性については、下記に情報がある。構造的に、ものすごく危険なのだ。特に、直下型原発への防備ができていない。
  → 元原発技術者菊地洋一さん中部電力靜岡支店で訴えた
  → 菊地洋一氏(元原発技師)が語る福島原発の建設現場
  → 浜岡1、2号機 廃炉建屋に使用済み燃料
  → 「浜岡原発震災を防ごう」 (詳細説明) 
   
 なお、「原発を止めると電力不足になるかも」という心配もありそうだが、その心配は不要だ。
  → 浜岡原発とめても電気はだいじょうぶ
 東電だって、福島の原発がなくても、ちょっと節電すれば問題なく過ごせる。中電なら、止めるのは浜岡原発だけで済むから、どうってことはない。
 要するに、動かす必要のないもの(浜岡原発)を動かして、あえて危険なことをやらかしているのだ。「首都圏の数千万人の生命をかけたギャンブル」という形で。このギャンブルは、負ければ全滅だが、勝っても利益はほとんどない。一方的に負ける可能性があるだけのギャンブル。狂気のギャンブル。

 今現在、毎日のように地震の余震がある。このままでは、静岡で地震が発生する可能性は、いつになく高まっている。そういうときにあえて、全滅のためのギャンブルをしているのだ。負けだけがあって、勝ちのないギャンブルを。

 気違いですね。



 [ 付記 ]
 オマケで、さらにひどい情報を。

 (1) 野菜

 ホウレンソウなどの野菜については、放射性物質の量が測定された。しかし、その測定方法は、インチキだった。というのは、「水で洗い流したあとの測定値」だったのである!
  → 厚生労働省の通知(洗ってから測定せよ)
 つまり、「洗えば大丈夫」という政府見解は、嘘。もともと洗ったものの数値だから、洗ったものをさらに洗っても、数値が下がるわけではない。
 しかも、これ(洗って測定)は、やってはいけないことになっている。放射性物質の測定値を取るときには、「洗わずに測定すること」と決まっている。
  → 緊急時における食品の放射能測定マニュアル
 なのに、政府はゴマ化しをやって、野菜の測定値を下げているのだ。インチキ!

 (2) 土壌

 土壌の測定値もインチキだった。国際基準では、土壌の表面を測定することになっているのだが、日本の測定では、15センチ下の土中の濃度を測定しているのだ。(あるいは、土壌を 15センチまで耕して、表土の放射性物質を、内部の土とごちゃまぜにしてから、測定する。)
  → 土の表面から15センチ下の土壌を採取
  → 農水省消費者の説明
 規則に反するインチキをして、数値を必死に引き下げようとする。ほとんど捏造(ねつぞう)である。

 ──
 
 こうやって、政府は必死になって、国民をだます。そして、だまされた国民は、放射性物質をたっぷりもらって、自分自身が汚染される。ホウレンソウのかわりに。


 
posted by 管理人 at 23:59 | Comment(0) | 安全 ・災害
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