福島第1原発がある福島県双葉町は、さいたまスーパーアリーナ(さいたま市中央区)からの移転完了から一夜明けた1日、新たな避難先の旧県立騎西高校(加須市)で本格的に業務を開始し、新年度をスタートさせた。85人の町役場職員は引き続き町民の安否確認などに追われながら、パソコンの設置など新しい職場環境の整備に奔走した。
井戸川克隆町長はこの日の朝礼で「混乱を早く収拾して、やるべきことに特化するように」と職員に呼びかけたという。職員の配置などについての辞令交付は月末をめどに進めていく方針。一方、今年度は5人の新人職員の採用を予定していたが、「役場が機能不全にある」(井戸川町長)として、昨秋から臨時雇用している1人を除き採用を見送っているという。
また、旧騎西高校以外に避難している町民からも「子どもを同じ学校に通わせたい」として入所申し込みが続いており、井戸川町長は同日開いた会見で「なんとかみんな入学させたい」と話した。
井戸川町長は会見の冒頭、「顔を見ることができない町民や発電所で作業する町民のこと思うことはしょっちゅう。何とか無事でいてほしいと願っている」と書いた文書を読み上げた。自身の息子も東京電力の従業員で第1原発で業務に当たっているといい、携帯電話で連絡を取り合っている。【町田結子】
毎日新聞 2011年4月2日 地方版