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放射性物質:福島の牛を県外へ

 東京電力福島第1原発の事故を受け、福島県は15日、国から屋内退避を指示されている原発から半径20~30キロ圏と、放射線量が高い「計画的避難区域」の肉用・乳用牛を県外に移動させることを決めた。飯舘(いいたて)村や葛尾(かつらお)村の計約1万頭が対象で、肉や原乳から放射性物質が検出されるのを防ぐ。

 県内では餌になる草が放射性物質で汚染されている可能性があり、栃木県が既に受け入れを表明していることも踏まえて移動先の県を決めるという。運搬時の放射線量検査や、高い値が出た時の除染も実施する方針だ。

 JAそうまによると、飯舘村の和牛ブランド「飯舘牛」の出荷数は年間約200頭、販売総額は約1億6000万円。畜産担当者は「JA独自の引き受け先探しが難航していたのでありがたい」と歓迎し、「餌などの費用を誰が負担するのかなど詳細を聞きたい。畜産農家が牛の近くに住んで飼育できるよう配慮してほしい」と話す。

 一方、同村伊丹沢で26頭を飼う山田長清さん(60)は「大きな牧場で多くの頭数を飼育することには賛成できない。牛に目が届かなくなる」と否定的。家族のために避難はするが、避難先から自宅に通って飼育を続けたいという。【種市房子、内橋寿明】

毎日新聞 2011年4月15日 20時14分

 

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