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インド占星術とヴェーダ思想〜人生の四目的〜

インド占星術の物の見方、考え方にはヴェーダの思想がいろいろの場面で反映されている。と言ってもインド占星術は基本的にスキル(技術)であり、ヴェーダ教は思想である。だから、この両者を混同して扱ってはならない。インド占星術はインド占星術、ヴェーダ思想はヴェーダ思想である。インド占星術のスキルが高まりヴェーダの思想の理解が深まれば、両者の一致点は自然に見出すことができるだろう。実によくできていることが分かる。おおいに勉強するとよい。しかしながら、インド占星術の学習がまだあまり進んでいない段階で、両者の関係性を下手に意識することはかえって好ましくないと私は思う。なぜなら、それをするとインド占星術の理解が深まるどころか却ってノイズとなってインド占星術の学習進歩を妨げる人も出てくる。最初の段階ではインド占星術をとりまく妖しげな呪術的な要素は排除した方がよい。アガスティアの葉、宝石療法、タントラリズム、薬物によるカルマからの解放等々、妖しげなオカルティズムや黒魔術から自らの身を守らなくてはいけない。私はそのような方面に流れてインド占星術の学習に挫折した人を何人も知っている。はっきり言って占術の世界は神仙界と悪魔界が接触混交する世界である。スピリチュアルな世界の理解が不十分な段階での妙なアプローチは自らを魔境に落とす原因となる。インド占星術のスキルがある程度高まるまで、一旦、ヴェーダ思想は封印する方がむしろよい。ヒンドゥー的なものへの接触はそれ後で十分である。

インド占星術に反映されるわかりやすいヴェーダ思想は、「人生の四目的」の考え方だろう。この考え方はインド占星術の「ハウス」概念に大きく影響を与えていると思われる。まず人生の理想として「四住期」という概念がある。人生を四つの段階ですごすことが理想である。第一はヴェーダの習い始めから学習の終わりまで絶対的に貞操を守らなければいけない学生期、次に次に結婚して家長として供儀を行い、息子をもうけ、社会的生活を送る家住期、そして人里離れた森ですごす林住期、最後に解脱を可能にする完全な「出家遊行」に生きる遊行期である。

これは一つの理想であって、広く受け入れられていた考え方は「人生の四目的」の方である。「人生の四目的」とはダルマ(法)、アルタ(利益、物質的な富)、カーマ(愛欲、欲望)、モクシャ(解脱)の四つである。四目的のうちモクシャ(解脱)は、至高神との合一や梵我一如を通じた輪廻転生からの解放を言い、他の三目的とは区別される。又、ダルマやモクシャだけが人生の目的ではなく、カーマもアルタも人生のある段階、それぞれの領域の中で満たされなければならぬものとして説いている。精神文化を重んじるインド人が、同時に世界を代表する商人としても有能であるという矛盾は、この思想から生まれる。

ところで、インド占星術では人生の四目的のうちどれに生きる人かをホロスコープから読むことができる。1,5,9ハウスは「ダルマトライン」と呼ばれここが強い人は、法の遵守や思想的価値に重点をおいて人生を生きる人である。

ダライラマ14
ダライラマ14世のホロスコープ

ダライラマ14世のホロスコープをみると、1室に水星、太陽、ケートゥがあり水星はバドラヨガである。そこに5室から木星がアスペクトしている。ムーラトリコーナの土星は9室ありここにも木星がアスペクトしている。ダルマトラインの1,5,9室に5つの惑星があり水星と土星が強力である。これで見るとダライラマは利害や欲望に生きる人ではなく、といって静かな瞑想生活を送る人でもない。チベット仏教の普及とチベット族の自治確立を人生の目的として生きるダルマトラインの人である。

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