◆巨人5−4阪神
すぐさま阪神・真弓監督はベンチを飛び出した。その顔は、「それはないだろう」と心の声が聞こえそうだ。7回。1点を勝ち越し、なおも2死一、三塁の場面。追加点が欲しい。だが、ブラゼルは二塁定位置の後方に高々と打ち上げてしまった。“事件”はここで起きた。
巨人の二塁手・脇谷は打球に追いついた。捕球したがこれをこぼし、慌てて取り直した。後方からジャッジした土山一塁塁審の判定は「アウト」。ただ角度を変えると、明らかに地面に落ちているように見えたが…。珍しく粘った抗議は当然覆らない。ここがターニングポイントとなった。
怒りの収まらない真弓監督は8回、小笠原の内野安打の微妙な判定にもかみついたほど。ふに落ちない形での逆転負けに試合後は、「見えてなかったんだろう。落ちた? そういう判断しかない」と不機嫌全開。そして「はっきりいって二塁塁審の見るとこがまずい」と山本二塁塁審に怒りの矛先を向けた。
「落ちてるよ。間違っているものは間違っている。あれで全然違うよ。アンパイアに負けたと言われても仕方ない」。参謀役の木戸ヘッドも怒り心頭だった。沼沢球団本部長も「完全な落球やな。大事な場面で審判の位置取り、角度によって落とすところがね…」とリーグに要望書を近く提出することを明言した。疑惑の判定に、勢いづきかけた真弓阪神が完全に泣かされた。 (島田明)
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