児童文学の名作「じろはったん」で知られる但馬出身の作家森はなさん(1909〜89年)を主人公にNHK朝の連続テレビ小説を制作してもらおうと、署名活動の輪が広がっている。生前の森さんを知る西尾真里さん(64)=加古川市=らが呼びかけ、全国各地や海外から寄せられた署名は3万人を超えた。(大城周子)
森さんは朝来市和田山町出身。結婚を機に加古川市に移り、高砂市の小学校教員に。退職後、64歳で文壇デビューした。処女作の「じろはったん」は太平洋戦争中の但馬を舞台に、知的障害のある心優しい青年や村人、疎開児童の交流を描き、日本児童文学者協会新人賞を受けた。
また自宅を開放し、文学を語り合う場を設けた。西尾さんは家が近く、親しくなった。いつも笑顔を絶やさず温厚な森さんは、日航機墜落事故で長男を亡くしたときも凛(りん)としていたという。
生誕100年をきっかけに、森さんの生き方や人柄を見直す機運が高まり、2010年1月、西尾さんを会長に「森はなの伝記を『NHK朝ドラへ』の会」が発足した。
「障害者を新しい視点で取り上げるドラマに」とも期待し、知的障害のある子どもの親の会「姫路地区手をつなぐ育成会」などが全国に署名への協力を依頼。森さんと親交のあった世界的なバイオリニスト黒沼ユリ子さんを通じて海外からも寄せられた。
西尾さんは、東日本大震災を受けて「どんな天災でも人と人の絆は破壊されない。じろはったんや森先生の生き方を通じ、それを伝えることができるはずだ」と話す。署名はNHKへ持参する。西尾さんTEL090・6235・8000
(2011/04/15 16:00)
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