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震災直後、仙台中心部で買い物客混乱 避難誘導機能せず?

 宮城県沖地震など大規模災害に備えて買い物客誘導などの訓練を行ってきた、仙台市中心部のアーケード街を構成する商店街。関係者によると、東日本大震災では大半の店がシャッターを閉め、買い物客が混乱する事態も生じたという。ある商店街組合は「わが身を守るので精いっぱいだった」と釈明。一部の店からは「訓練の意味がない」と、買い物客の安全確保の在り方を問う声が上がっている。
 アーケード街のある商店街の薬局幹部によると、震災発生直後、周囲の店が次々と閉店。このため営業を続けた薬局に避難場所を尋ねたり、非常食を求めたりする買い物客らが殺到し、1000人以上に達したという。
 この商店街は2008年、大災害を想定した訓練を実施。複数の班に分かれ、応急手当てや避難誘導などの初動対応を学んだ。
 薬局の幹部は「混乱するお客さまに、各店はなぜ対応しなかったのか。訓練の時のように協力できれば、速やかに誘導できたのに」と憤る。
 これに対してシャッターを閉めた店の関係者は「店や家族が心配で、誘導どころではなかった」と言う。商店街振興組合も「けが人の有無は理事が見て回って確認した。事務所の機材が壊れ、放送による誘導などはできなかった」と説明する。
 仙台市によると、地震を想定した任意の訓練はこれまで、アーケード街を構成する6商店街のうち5商店街が実施。各商店街への取材では、震災直後の組織だった買い物客対応はできなかったという答えでおおむね一致している。
 市消防局は「客の安全確保を徹底できない実態だったとすれば残念。基本に返り、避難誘導などを指導するしかない」と語る。
 商店街によっては災害対応の在り方を今後、見直す方針だ。幹部らは「買い物客に対し、及ばない点があれば申し訳なかった」「商店街の防災の係がいない時のフォローの仕方などを考えたい」などと話す。(鈴木美智代、高橋公彦、桐生薫子)


2011年04月16日土曜日


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