都内、某所。
吉田さんとわたしは、リンクの上にいた。
フィギュアスケートを描く以上、
 実際にリンクの上での感覚を、改めて知る必要がある
 というわけである。
真央さんがリンクで感じている風やスピード感、
 目にしている風景を、リアリティのあるものとして
 読者に届けたい。
そんな吉田さんの情熱に引っ張られ、
 リンクにやって来た。
しかし、わたしは、ほとんどスケート未体験。
 最初は立つだけで精いっぱいだった。
吉田さんのほうはというと、
 すいすいとリンクを周回し始めていた。
その周回コースのなかでは、
 フィギュアスケート教室が開かれていた。
色とりどりの衣装を着た、
 小学校中学年くらいの女の子や男の子が
 軽やかに滑り、高らかに跳んでいた。
こんな小ちゃな子たちがすごい。
それにしても、一般客と混じっての練習とは。
 聞いてはいたが、実際に見て改めて驚いた。
休憩を挟みながらの2時間ほどの氷上体験のあと、
 リンク内のショップの店員さんに
 スケート靴や衣装についていろいろと話を聞いた。
このとき見聞きした知識は、
 のちに小塚コーチへの取材時に役立つことになる。
ちなみに、この氷上体験のあと、吉田さんは、
 真央さんが情熱を傾けているフィギュアスケートとは何か。
 それを頭だけでなく、心と体でもわかりたいという気持ちがさらに膨らみ、
 人づてに、フィギュアスケートの元女子選手に
 個人レッスンをお願いしたそうです。
(文=S編集部員)
NEXT予告 → 6行に込めた、妥協なき情熱。
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 Vol.1 執筆者を誰にすべきか。
 Vol.2 「パイロット版原稿」 いきすぎた描写。
 Vol.3 このシーンは必見。
 Vol.4 ライバル構図。
 Vol.5 最初のインタビュー。
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