2005年03月09日
続・参入障壁
第1話までの参入障壁は”カネ”ですので、1億用意さえできれば参入できるワケです。
ワタシも1億のスポンサーまではなんとかなりました。問題はココからです。
仕入れルートを限定された状況から抜け出す為に「業転」を購するまではイイのです。しばらくはバレませんが、半年、1年と買い続けるとさすがに元売会社も気付きます。
で、「そういう情報のリークはない」とされていますが、いいタイミングで経済産業省の抜き打ち査察が入ります。前述の「揮発油品質維持計画」が行われているかの確認です。
で、申請とは異なるルートでの商品の供給が確認され、「特例措置の廃止」が通知されます。(規定演技ですね。)
で、やっぱり10日に1回の分析が必要になります。
でも大丈夫。都道府県石油組会に加入していれば、外郭団体である「全国石油協会」で1年分の分析を「たった10万円で」行ってくれるサービスがあるんです。
そもそも、「揮発油品質維持計画に基づく分析」をココ以外に行ってくれるトコロもなく、となるとココには加入せざるを得ません。(ココに加入するコトが後々響いてきます。)
この年間10万円の検査費用ですが、「業転」は正規ルートと比べて1リットルあたり2〜5円安く仕入れられますので、タンクローリー1台あたり4万〜10万円のコストダウン。となれば、2回仕入れればモトが取れる格安さなのです。
だから、ちょっと面倒ですがココは分析で凌ぎます。
すると経済産業省は元売会社に質問を出すんだそうです。
「オタクの看板つけてるドコソコのお店、あれ、揮発油品質維持計画の認定外れてるんですけど、オタクの商標は消費者保護の観点から好ましくないのではないですか?」ってね。
余計なお世話ぢゃ!ぼけぇ〜っ!
なんですが、元売会社はコレをきっかけにお店にやってきます。
「こんな質問されましたけど、どうします?二度とヨソから買わない誓約書出して”再認定”受けます?それとも商標撤去します?」
そうです。こうして世にカンバンをとられて、それでも営業している「無印スタンド」ができるのです。
まっ、ソレでもイイです。
こちとら「新規参入組」なので、売上アップを目指さなければいけません。
もちろん、需要はさほどの変化はありませんので、既存のお店さんたちからシェアを頂くコトとなります。
となると、顧客のニーズは「安さ」
ならば、と、周辺よりも安い値段のカンバンを出してみます。
すると安値のカンバンを見てお客さんが来るよりも早く「石油組合」さんから電話が来ます。
「おたくの看板、周辺の市況を乱すから至急撤去してくれんかね?」ですと。
皆さんもご存知のコトでしょうけど、石油組合がその主導権を握り「市況維持」の為の「談合」はもはや「当たり前」なのです。
オカシイでしょ?各社さん揃いも揃って同一価格で販売ですよ。それも県を跨ぐと一気に価格が変わって横並び。管轄する石油組合が違うからなんですね。
この問題、以前新聞の取材にガソリンスタンドの店員が「石油組合の指示で価格を改定した」と正直に答えたコトがあり、公正取引委員会が調査に入ったコトもあります。まぁ、公正取引委員会もそういうタレコミがあったから”しょうがなく”調査しているようなモンで、この事件以後、新たなマニュアルができました。
「価格の指示は石油組合からではないと言え」です。
価格競争を始めると止まらないのがこの業界。あっさり仕入れ価格を下回ります。コレを不当廉売とされますが、業界の慣習で「後日値引きが入る」ならばオッケイとされます。
ただ、売れば売るほど赤字な状況は宜しくないので、問題となっているお店が商標を掲げている場合は、石油組合はその元売会社へ申し入れを行います。
「オマエんとこの、この店なんとかしろ」って。
(並行してお店へも石油組合の皆様から電話が止まらなくなります。)
カンバンが無い場合は、業転を販売している供給元へ圧力をかけます。
「出荷を止めなければ業界から締め出すゾ」と。
揮発油の分析を行ってもらう為に加入した「組合」がココで足枷になるのです。
「生活必需品」を販売するには、そういった業界団体へ参加し、長年先輩方に尽くし、先輩達が死ぬまで我慢しなければならないのでしょうか?
参入障壁の内側は保護されている。入ってしまえばこっちのもの。
それでイイのでしょうか・・・
「所詮は長いものに巻かれるんだって。逆らっても無駄さ」
コレが、ある地域で売上アップの為の「価格破壊」をしかけたワタシへの元上司からの最後のコトバでした。
その上司は会社から給料をもらい、「組合活動」を日々の主な業務になさっています。未だに。
いつかこの業界を変えてやる!と思っていましたが、辞めてしまえば、そうでもなくなってしまうものですね。
そんな業界に1億もはたいて参入する価値があるのか!?アトは「熱意」ですかね。
だからこそ、ホリエモンにも頑張ってほしいのです。
全ての”既得権益”と”参入障壁”に立ち向かう勇者にエールを!です。
ワタシも1億のスポンサーまではなんとかなりました。問題はココからです。
仕入れルートを限定された状況から抜け出す為に「業転」を購するまではイイのです。しばらくはバレませんが、半年、1年と買い続けるとさすがに元売会社も気付きます。
で、「そういう情報のリークはない」とされていますが、いいタイミングで経済産業省の抜き打ち査察が入ります。前述の「揮発油品質維持計画」が行われているかの確認です。
で、申請とは異なるルートでの商品の供給が確認され、「特例措置の廃止」が通知されます。(規定演技ですね。)
で、やっぱり10日に1回の分析が必要になります。
でも大丈夫。都道府県石油組会に加入していれば、外郭団体である「全国石油協会」で1年分の分析を「たった10万円で」行ってくれるサービスがあるんです。
そもそも、「揮発油品質維持計画に基づく分析」をココ以外に行ってくれるトコロもなく、となるとココには加入せざるを得ません。(ココに加入するコトが後々響いてきます。)
この年間10万円の検査費用ですが、「業転」は正規ルートと比べて1リットルあたり2〜5円安く仕入れられますので、タンクローリー1台あたり4万〜10万円のコストダウン。となれば、2回仕入れればモトが取れる格安さなのです。
だから、ちょっと面倒ですがココは分析で凌ぎます。
すると経済産業省は元売会社に質問を出すんだそうです。
「オタクの看板つけてるドコソコのお店、あれ、揮発油品質維持計画の認定外れてるんですけど、オタクの商標は消費者保護の観点から好ましくないのではないですか?」ってね。
余計なお世話ぢゃ!ぼけぇ〜っ!
なんですが、元売会社はコレをきっかけにお店にやってきます。
「こんな質問されましたけど、どうします?二度とヨソから買わない誓約書出して”再認定”受けます?それとも商標撤去します?」
そうです。こうして世にカンバンをとられて、それでも営業している「無印スタンド」ができるのです。
まっ、ソレでもイイです。
こちとら「新規参入組」なので、売上アップを目指さなければいけません。
もちろん、需要はさほどの変化はありませんので、既存のお店さんたちからシェアを頂くコトとなります。
となると、顧客のニーズは「安さ」
ならば、と、周辺よりも安い値段のカンバンを出してみます。
すると安値のカンバンを見てお客さんが来るよりも早く「石油組合」さんから電話が来ます。
「おたくの看板、周辺の市況を乱すから至急撤去してくれんかね?」ですと。
皆さんもご存知のコトでしょうけど、石油組合がその主導権を握り「市況維持」の為の「談合」はもはや「当たり前」なのです。
オカシイでしょ?各社さん揃いも揃って同一価格で販売ですよ。それも県を跨ぐと一気に価格が変わって横並び。管轄する石油組合が違うからなんですね。
この問題、以前新聞の取材にガソリンスタンドの店員が「石油組合の指示で価格を改定した」と正直に答えたコトがあり、公正取引委員会が調査に入ったコトもあります。まぁ、公正取引委員会もそういうタレコミがあったから”しょうがなく”調査しているようなモンで、この事件以後、新たなマニュアルができました。
「価格の指示は石油組合からではないと言え」です。
価格競争を始めると止まらないのがこの業界。あっさり仕入れ価格を下回ります。コレを不当廉売とされますが、業界の慣習で「後日値引きが入る」ならばオッケイとされます。
ただ、売れば売るほど赤字な状況は宜しくないので、問題となっているお店が商標を掲げている場合は、石油組合はその元売会社へ申し入れを行います。
「オマエんとこの、この店なんとかしろ」って。
(並行してお店へも石油組合の皆様から電話が止まらなくなります。)
カンバンが無い場合は、業転を販売している供給元へ圧力をかけます。
「出荷を止めなければ業界から締め出すゾ」と。
揮発油の分析を行ってもらう為に加入した「組合」がココで足枷になるのです。
「生活必需品」を販売するには、そういった業界団体へ参加し、長年先輩方に尽くし、先輩達が死ぬまで我慢しなければならないのでしょうか?
参入障壁の内側は保護されている。入ってしまえばこっちのもの。
それでイイのでしょうか・・・
「所詮は長いものに巻かれるんだって。逆らっても無駄さ」
コレが、ある地域で売上アップの為の「価格破壊」をしかけたワタシへの元上司からの最後のコトバでした。
その上司は会社から給料をもらい、「組合活動」を日々の主な業務になさっています。未だに。
いつかこの業界を変えてやる!と思っていましたが、辞めてしまえば、そうでもなくなってしまうものですね。
そんな業界に1億もはたいて参入する価値があるのか!?アトは「熱意」ですかね。
だからこそ、ホリエモンにも頑張ってほしいのです。
全ての”既得権益”と”参入障壁”に立ち向かう勇者にエールを!です。
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この記事へのコメント
大変勉強になりました。面白かったです。
この業界、ガチガチに凝り固まっていますね。
どこがどうやって風穴を開けてくれるのか…
電気自動車が普及してみんながご家庭で
給電できるようになるまで変わらないかも。
この業界、ガチガチに凝り固まっていますね。
どこがどうやって風穴を開けてくれるのか…
電気自動車が普及してみんながご家庭で
給電できるようになるまで変わらないかも。
Posted by wmask at 2005年03月09日 11:58
全ての”既得権益”と”参入障壁”に立ち向かう勇者にエールを!です。
この言葉に共感です。既得権を守るために障害を作っている。多くの業界・会社でも大小の違いはあれど存在していると思います。
この言葉に共感です。既得権を守るために障害を作っている。多くの業界・会社でも大小の違いはあれど存在していると思います。
Posted by スポリン at 2005年03月09日 13:45
新しいものが大好きなくせに、新しい参入者に対しては排他的というのは、日本だけの特徴なんでしょうか。難民や不法労働者等、外国人問題でも異常に拒絶するし。他の国はもう少し理詰めに制度的に対処している印象があります。うーん。
>「所詮は長いものに巻かれるんだって。逆らっても無駄さ」
アメリカ式のカネカネ勝ち勝ち主義を心のどこかでは軽蔑しているはずなのに、抗ってもしょうがないから巻かれちゃう日本はダメダメですねえ。
>「所詮は長いものに巻かれるんだって。逆らっても無駄さ」
アメリカ式のカネカネ勝ち勝ち主義を心のどこかでは軽蔑しているはずなのに、抗ってもしょうがないから巻かれちゃう日本はダメダメですねえ。
Posted by hypocra at 2005年03月09日 14:28
wmaskさんどうもです。
自由化により大手スーパーがガソリンスタンドを併設するコトで、この体制が崩れるかと思われましたが、なんのコトはなくイマぢゃ「おててつないでヨコならび〜」です。
一時は”ワタシ”が風穴を・・・
とも思っていましたが・・・
トレンドは”水素”と”電気”なんですよね・・・
今日のヒトコト。
「談合は日本の文化である」
自由化により大手スーパーがガソリンスタンドを併設するコトで、この体制が崩れるかと思われましたが、なんのコトはなくイマぢゃ「おててつないでヨコならび〜」です。
一時は”ワタシ”が風穴を・・・
とも思っていましたが・・・
トレンドは”水素”と”電気”なんですよね・・・
今日のヒトコト。
「談合は日本の文化である」
Posted by dubrock at 2005年03月09日 14:29
日本社会の本質をつきますなあ…。
テレビ局のあの高給とかもその権益を独占できているからなんでしょうね〜。
「既得権」…嫌な言葉です。
確かにホリエモンですらちょっとは応援したくなりますよ。
ところで、ホリエモンについて週刊誌を読んでいて発覚したんですが、ヤツはトータルワークアウトだけではなく、ルイヴィトンのTシャツを着、カリスマ美容師に髪を切ってもらっているようでっせ!
しかも、昔はもっとデブでロン毛だったそうで、これでもずいぶんとマシになったそうな…(笑)。
こんなにパフォーマンスの低い逸材もめずらしいですよねぇ〜。
テレビ局のあの高給とかもその権益を独占できているからなんでしょうね〜。
「既得権」…嫌な言葉です。
確かにホリエモンですらちょっとは応援したくなりますよ。
ところで、ホリエモンについて週刊誌を読んでいて発覚したんですが、ヤツはトータルワークアウトだけではなく、ルイヴィトンのTシャツを着、カリスマ美容師に髪を切ってもらっているようでっせ!
しかも、昔はもっとデブでロン毛だったそうで、これでもずいぶんとマシになったそうな…(笑)。
こんなにパフォーマンスの低い逸材もめずらしいですよねぇ〜。
Posted by SHUMAI at 2005年03月09日 15:16
スポリンさんも、どうもです。
不動産業界の”障壁”も、取り払わなくてはならないトコロがありますね。
不動産業界の”障壁”も、取り払わなくてはならないトコロがありますね。
Posted by dubrock at 2005年03月09日 18:36
hypocraさんまいどです。
業界が排他的なばかりでなく、公的機関と制度・規制・法律などあらゆるものが、新規参入を拒む様に出来ている、というのがスゴイところですね。
この石油組合連合会には「石油政治連盟」なる外郭団体まであり、「道路税」を徴収する業者としての立場を利用した政界とのパイプ作りもされています。
まぁ、ココまで作ったシステムを、そうカンタンに潰されてなるものか、なのでしょう。
そんな閉鎖的な島国根性に未来など見えないんですけどね・・・
業界が排他的なばかりでなく、公的機関と制度・規制・法律などあらゆるものが、新規参入を拒む様に出来ている、というのがスゴイところですね。
この石油組合連合会には「石油政治連盟」なる外郭団体まであり、「道路税」を徴収する業者としての立場を利用した政界とのパイプ作りもされています。
まぁ、ココまで作ったシステムを、そうカンタンに潰されてなるものか、なのでしょう。
そんな閉鎖的な島国根性に未来など見えないんですけどね・・・
Posted by dubrock at 2005年03月09日 18:42
SHUMAIさんどうもっ
この書き込みで公取動くかと思いましたが、何事も無く一日がおわりました。
ビトンのシャツは知ってましたが、カリスマ美容師とは・・・
「投資運用効率」の悪さに株主から批判が起きるワケですね〜
そのトキ広報部乙部綾子嬢は!?
ホリエモンのソバにいる”だけ”ではダメだろうに・・・
この書き込みで公取動くかと思いましたが、何事も無く一日がおわりました。
ビトンのシャツは知ってましたが、カリスマ美容師とは・・・
「投資運用効率」の悪さに株主から批判が起きるワケですね〜
そのトキ広報部乙部綾子嬢は!?
ホリエモンのソバにいる”だけ”ではダメだろうに・・・
Posted by dubrock at 2005年03月09日 22:12