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東日本大震災:「鹿島灘の魚は安全」 組合会長宣言、風評被害を危惧 /茨城

 「鹿島灘の魚は安全です」。鹿島灘の魚から食品衛生法上の暫定規制値を超える放射性物質が出なかったという検査結果を受けて、「鹿島灘漁業権共有組合連合会」(鹿嶋市)の小野勲会長が2日会見し、「安全宣言」をした。ただ、加工品の風評被害が出始めており、漁業再生への道のりは険しい。

 連合会には大洗町、鹿島灘、はさきの3漁協が所属している。県環境放射線監視センターの分析では、それぞれ1キロあたり▽イカナゴ(大洗町沖)66ベクレル▽カタクチイワシ(同)30ベクレル▽ハマグリ(鹿嶋市沖)19ベクレル▽サヨリ(同)11ベクレル▽マコガレイ(神栖市沖)3ベクレル▽ヒラメ(同)検出されず--となった。いずれも、1キロあたり500ベクレルの暫定規制値を大幅に下回る。放射性ヨウ素については規制がないため調べていないという。

 鹿島灘漁協組合長も務める小野会長は、福島第1原発から流れる汚染水について「不安はあるけど、こちらまで来ないと思う。明日から胸を張って出船できる」と胸をなでおろす。先週から、一部の漁船は千葉県銚子沖で漁を再開。だが、茨城沖での操業は安全性が未確認なうえ、魚の買い手もつかないため見送っていた。出漁のタイミングについて、小野会長は「業者が魚を買ってくれなければ漁には出られない」として、仲買人や千葉県の市場などと協議する考えだ。

 県水産加工業協同組合連合会によると、加盟する加工業者が震災後に客から「原料が今取れたものではないという証明書がほしい」「放射性物質が含まれていない証明書がほしい」などと注文をつけられるケースが出ているという。同会は「茨城沖ではまだ出漁していないから、震災前に水揚げされた原料であるのは明らかだ。風評被害は増えるかもしれない」と危惧する。

 小野会長は「震災だけなら船や港が直れば出船できるが、原発のダメージが大きい。茨城の魚は警戒されている」と表情は険しい。県内の漁港は高さ3~7メートルの津波に襲われ、船が転覆し、市場など漁港設備が壊れた。小野会長は「漁師は余裕がない。みんな原発に怒っている」とまくしたてた。【原田啓之】

毎日新聞 2011年4月3日 地方版

 
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