東日本大震災を受け、メガネの三城で知られる三城ホールディングス(東京)が、被災者に眼鏡を無償提供している。阪神・淡路大震災などでの被災者支援の経験を生かし、眼鏡は、創業の地である姫路市を拠点に6年かけて製造、備蓄してきた。
同社は1991年の雲仙・普賢岳の災害で、眼鏡300個を提供したのを機に、阪神・淡路大震災などこれまで五つの災害で被災者を支援してきた。6年前には、姫路市南条の事務所に地震対策プロジェクトを設置し、災害時緊急用として月約300個のペースで製造、加工。東日本大震災前には2万個の備蓄があったという。
被災者に提供する眼鏡は近視、遠視、老視用があり、視力と目の幅に応じて、約400種から選ぶことができる。震災直後から宮城、岩手、福島の3県の避難所などで、同社の社員らが視力を測定するなどして、既に1万5千個を届けた。
被災者からは「津波で眼鏡が流され、新聞も読めず困っていた。本当に助かる」などと歓迎されているという。現在も各店舗で被災者向けに製造を続けており、今月末までにさらに1万5千個以上を送る予定。
同プロジェクトチーフの辻井義信さん(62)は「避難所では長い列ができ、眼鏡を失い不自由している人の多さを実感した。急場しのぎですが、少しでもお役に立てれば」と話している。
(青山真由美)
【特集】東日本大震災
(2011/04/20 15:40)
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