返す返すも残念なのは、国か東電が「原発が爆発しそうだ! 逃げろ!」と言ってくれたら、初期被ばくはずいぶん、減ったでしょう.
なにしろこのグラフで判るように、最初の3日間でものすごく大きなピークが見られます.
この時にかなり被ばくするのですから、福島県東部、茨城県北部の人がたった3日、避難していれば!また気象庁が緊急風向き情報を出してくれれば!と思います。
過去のことですが、繰り返し言っておいて、次の爆発がもし万が一あるとしたら、是非、事前に警告を発してください。地震速報より大事かも知れません。
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さて、
1) 初期被ばくしてしまった、
2) 子供が雨に濡れた(最初)、
3) 子供が土の上で遊んでいた(最近)、
4) 汚染された野菜を食べてしまった、
5) 福島の中通りを車で通った、
などで「失敗した!」と辛い思いをしている方がおられます.でも、過去のことを悔やむより、前進しましょう!
まず、
1. 被ばくは「足し算」ですから、最初に被ばくした人はこれから他の人より注意すれば合計で取り返すことができます(ウサギとカメの話を思い出してください)。
2. お子さんが雨に濡れたり、土で遊んだりすると、その時間だけは多い被ばくを受けますが、その後、注意をすれば「足し算」ですから、大丈夫です。
3. 食品も間違って2,3度食べても「足し算」ですから、大丈夫です。お母さんは頭の中に「少し被ばくさせてしまったから、これからこれに注意しよう」と思っていれば回復します.
4. 汚染されていることが判っている雑草、芝生は刈り取りましょう。土にしみないうちに直接、葉についたセシウムをとるためです.
5. お子さんはできるだけ地表から高いところで生活、移動をするように心がけてください.
6. 余裕のある人(お子さんも含め)は機会を見て、遠くで体を休めてください。
人間には「放射線によって障害を受けても、自分で回復する力」があります。つまり、その人の回復力を20としますと、被ばくが30とすると、10だけ損傷します.
次の日に10で抑えれば理論的には回復力の範囲に収まります.
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たとえば、胸のレントゲンを1回、受けると50マイクロシーベルトの被ばくをします。医療の被ばくは別計算ですが、体の方は、0.11マイクロシーベルト(1時間あたり)なら回復しますから、15日で胸のレントゲンは忘れてもよいという状態になります.
これと同じで、お子さんが雨に濡れて50マイクロシーベルトの被ばくをしても、15日間、注意をすれば回復することを示しています。
ただ、今は周囲に放射性物質が多いので、少し時間がかかります。
また、もしお金や時間に余裕があれば、しばらくの期間、放射線の低い地域へ旅行して休むと回復します.
また、水道が綺麗になってきました。また日本の水道局は比較的信頼できることもあります。
原因は、「土地の面積の割合に対して川の面積が小さい」ことによっています。これまでの被曝量が小さい人は連休明けぐらいから水道水を飲めると思います.
【ニュースのコメント】
福島の人の悩み、川崎市長のちょっかい
福島の大地には「均等」に放射性物質が降りました。もちろん風上の汚染が厳しいのですが、全体的に降りました。
放射性物質は落ちるところを選びません。川崎に運ばれる瓦礫の上にも、収穫間近のホウレンソウにも、また水道の水源となる川にも、平等に降り注ぎます.
だから川崎市長の言うように「福島の瓦礫で放射性物質がついていない瓦礫」などないのです。これが福島の人の悩みであり、農業の人が苦しんでいる理由です.
川崎市長の行為は福島の人をさらに傷つけるでしょう.
(平成23年4月20日 午後10時 執筆)
武田邦彦