 | 休業の貼り紙に戸惑う日本人の若者たち |
東京のコリアタウンから人が消えた。震災と原発事故、それにともなう節電のための営業自粛だけが理由ではない。従業員の多くを留学生に頼っている店舗が多いため、従業員の確保がままならないのだ。(表斗鉉)
東日本大震災と福島第1原発の放射線漏れ事故は、東京一のコリアタウンが広がるJR新大久保駅周辺にも大きな被害を与えている。
11日の地震発生前の新大久保は新韓流ブームにより、既存の中高年ファンだけではなく、多くの若者も訪れるようになっていた。週末に限らず平日も人々で溢れていた。だが、地震後のコリアタウンに以前の面影はない。
在日韓国飲食業協会の嚴洙鎔会長は「地震が起きてから2週間経った今、在日韓国人が経営する飲食店や韓流グッズの販売店などの40%近くが閉まっている。残り60%の店もギリギリで一日一日を乗り越えており、いつ閉まってもおかしくない状況だ」と述べた。
嚴会長は店が閉まっている理由について「福島第1原発の放射線漏れ事故が最大の理由だ」と話す。
 | 以前の面影がなくなった新大久保駅周辺 | 放射線漏れ事件がニュースになり始めた当初はアルバイトの留学生も動揺せず働いていたが、時間の経過とともに状況は深刻化。放射線汚染が怖いと言いはじめる従業員が出はじめ、韓国に一時帰国する人や日本での生活を整理して完全に帰国した人が続出した。
1人が帰るとほかの従業員にも動揺は広がった。
例年なら学校が春休みに入って従業員のシフトを組むのに苦労しない時期だが、今年は正反対の状況になっている。チェーン店は開店する店を1軒か2軒に絞り、帰っていないアルバイトを集めて運営しているが、個人経営の店が多い同地区では、補修工事や食材不足にも悩まされる事業主が増え続けている。売り上げが10分の1になった店舗もあるという。
こういった状況は新大久保駅周辺だけではなく、上野や日暮里や赤坂などのコリアタウンでも同じだ。
経営危機は飲食業界だけにとどまらない。不動産業を営む40代の韓国人男性は、「飲食店と同様で韓国に帰る社員が増加している。解約件数も一気に増え、経営を圧迫している」と述べた。 |