政府が放射性物質で汚染された農地でのコメの作付けを原子力災害対策特別措置法に基づき制限することを決めた問題で、県の宮浦浩司農林水産部長は8日、県庁で緊急会見を開き、県内18地点の水田と畑の土壌を調査した結果、すべての地点で検出された放射性セシウムが、国が定めた規制値(1キロあたり5000ベクレル)を下回ったと発表した。このため県内ではコメの作付け制限は実施されないことが決まった。
県によると、県内で最も高濃度のセシウムを検出したのは、竜ケ崎市の496ベクレルで、これに稲敷市の484ベクレルが続く。また、北茨城市や茨城町など県北、県央地区でも300ベクレル台と比較的高い値が検出されているが、宮浦部長は「どのような風の流れでこのような値が出たのか、分析できてない」と説明した。
県原子力安全対策課によると、通常、県内の水田や畑からセシウムが検出されることはないという。
一方、県内では早い地域の場合、4月中旬から田植えを行うが、東日本震災の影響で水利施設が壊れる被害も出ており、宮浦部長は「例年通りの時期に田植えが出来るのは県内の水田の半分ほど。遅い地域では、6月中下旬まで遅れるのでは」との見通しも示した。
また、県は同日、食品衛生法の暫定規制値を超える放射性物質が検出された原乳の次回検査日を当初11日としていたが、10日に早まったと明らかにした。検査結果が出る11日にも、国に出荷停止解除を申請する見通しとなった。【大久保陽一】
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【県北】
北茨城市 308
常陸太田市 168
常陸大宮市 92
大子町 195
【県央】
水戸市 157
茨城町 395
小美玉市* 328
【鹿行】
行方市 205
潮来市 140
神栖市* 192
【県南】
土浦市 102
つくば市 154
竜ケ崎市 496
稲敷市 484
【県西】
桜川市 160
筑西市 155
八千代町 193
坂東市* 166
(単位はベクレル/1キロ、*は畑、他は水田)
毎日新聞 2011年4月9日 地方版