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原子力発電所の意外な素顔 高浜発電所ってどんなところ?

関西の電気の供給をになう原子力発電所では、日々安定して電気を送るため、大勢の人が働いています。一方で温排水を利用して花を育てたり、魚介類を栽培したりという、取組みも行っています。今回は高浜発電所のそんな素顔に迫りました。

プロフィール

高浜発電所

高浜発電所は福井県嶺南地方の西、日本海に面した風光明媚な海岸に位置しています。1974年に1号機が営業運転を開始。現在は1号機から4号機まで、4基の原子炉が稼働、合計339万2千キロワットの電気を作り出すことができます。これは関西電力の発電電力量の約20%に当たり、大飯発電所に次いで2番目の規模です。

中では約500名の関西電力社員が発電や保修、事務管理にあたっています。発電部門では3交替勤務制で24時間、発電所の運転や監視にあたり、安全に電気が送られるよう努めています。そのほか、発電所の保守や運営を助ける協力会社の社員が約2,000名。定期検査時などには、協力会社の社員がさらに500~1,000名程度増えるというように、大勢の人が原子力発電所の安全と運転を支えています。

情報コーナー ニックネーム

高浜発電所の原子炉にはそれぞれニックネームがあり、1号機はアトムくん、2号機はウランちゃん、3号機はみらいくん、4号機はあかりちゃんと呼ばれています。

アワビや洋ランを育ててるって、ホント?

火力発電所や原子力発電所のある地域では、発電所から出る温排水を有効利用する研究を広く行っています。ここ、高浜発電所でも、温排水の熱エネルギーを使った取組みが行われています。

温排水ですくすく育つサザエ・アワビ

高浜発電所では、1976年から温排水を利用したサザエやアワビの育成を始めました。毎年産卵、ふ化させて独り立ちできる大きさになるまで稚貝を栽培し、周辺海域へ放流しています。

温排水を利用したサザエ・アワビの育成

高浜周辺の海域は冬場10度近くまで海水温が下がるため、魚介類は餌を食べなくなり、成長が止まってしまいます。温排水は通常の海水温より約7度高く、サザエやアワビが冬場でも餌を食べるので、そのぶん成長が促されます。また、海水がちょうど1~2カ月先の温かさになり、サザエやアワビの産卵を早めることもできます。

それでも、毎年海水温が変化し、産卵時期が一定しないため、予定された数を確保するには年に数回の採卵が必要になるそうです。さらに、放流できる大きさに育つまでに、サザエは約1年、アワビは1年5カ月と長い時間がかかります。その間、病気などの感染に注意し、健康な貝が育つよう餌の量を調整したり、水槽の掃除をするなどの気遣いも、常に必要とされます。

サザエ、アワビを美浜の各発電所周辺海域へ放流

成長した稚貝のうち、サザエは6~7月に約3万個、アワビは毎年7~8月に約2万個を高浜や大飯、美浜の各発電所周辺海域へ放流し、地域の水産業の振興に役立てられています。

情報コーナー 温排水

原子力発電所では、原子炉内で発生した熱エネルギーを利用して蒸気を作り、その力でタービンを回して電気を作ります。タービンを回したあとの蒸気は、海から取り込んだ海水で冷やされて水に戻りますが、蒸気を冷やすのに使われた海水は元の海水より少し温度が上がります。これが温排水です。

温排水の熱エネルギーで咲くあでやかな洋ラン

温排水の熱エネルギーで咲くあでやかな洋ラン

温排水を利用したもう一つの取組みが、1979年から始められた洋ランの栽培です。洋ランを栽培する温室では、温排水から「水熱源ヒートポンプ」と呼ばれるしくみで得た熱エネルギーを11月から4月の暖房に役立てています。

また、デンドロビウムとシンビジウムの2種類の洋ランは、通常の方法で栽培する場合、12月上旬ごろから開花させるため、その前の6月下旬から9月上旬ごろまで、標高800~1200メートルぐらいの高地で管理する「山上げ」をする必要があります。同発電所では、ヒートポンプの回路を逆に運転し、9月から10月の2カ月間、温室の温度を夜間14度まで冷房することで、「山上げ」と同じ環境を人工的に作り出し、12月に開花するよう調整しています。

情報コーナー ヒートポンプ

ヒートポンプとは冷媒によって熱(ヒート)を汲み上げる(ポンプ)しくみのことです。冷媒が液体から気体になるときに周囲から熱を奪い、気体から液体になるときに熱を放出する特性を利用し、冷却や加熱を行います。エアコンや冷蔵庫などのほか、給湯機にもこのしくみを使ったものがあります。

温室ではそのほかにデンファレやカトレア、バンダ、ファレノブシス、オンシジウム、ミルトニアなどの美しい洋ランを栽培しています。いずれも観賞用に温室内や高浜町内の公共施設で展示しているほか、町内外のイベント等に貸し出すこともあります。そのため、株分けをしたり、置き場所を変えるなどの調整をして、年間を通じて花の咲く株を確保しているそうです。温室栽培とはいえ、気候の影響を受けたりして予定した時期に開花しないなど、苦労も多いと聞きます。

四季折々の花やイベントを通じて

高浜発電所では、地域のみなさんに親しみを持ってもらえる発電所を心がけるなかで、イベントなどの交流活動を活発に行っています。

花畑を作っています

「花いっぱい運動」は、花で発電所を満たし、地域に親しまれる景観を目指すとともに、所員や協力会社のスタッフ自身が種をまき、手入れをすることによってコミュニケーションを深めるなど、職場の雰囲気づくりに役立てようと、1996年から始められました。

小学生の写生会の様子

春から夏にかけてはポピーやマリーゴールドが咲き、その後はコスモスやベゴニアが咲き誇ります。そのほか、ラベンダーやツツジなど四季折々の花が目を楽しませてくれます。春には地元高浜町の小学生を招き写生会を実施しており、美しい花に歓声を上げながら写生にはげむ姿が見られます。
また、この取組みは「全国花いっぱいコンクール」の2003年度「国土交通大臣賞」をはじめ、さまざまな賞を受賞しています。

地域とのふれあいのひととき

高浜発電所では、地域のみなさんが参加できるさまざまなイベントを催しています。また、地元主催の行事やイベントに運営スタッフを派遣するなど、地域のみなさんとふれあえる機会を大切にしています。

サマースクールインたかはま

サマースクールインたかはま

地元高浜中学校の生徒のみなさんを対象に、夏休みに2日間開催する勉強会です。原子力平和利用協議会高浜支部に協力し実施しています。
地域の若い人たちとの交流を深めようと始められたもので、高浜発電所の若手社員が講師になり、中学校の理科と数学の問題に取り組みます。また、夏休みの過ごし方や、効率的な勉強方法について話し合うなど、学校の授業とはひと味違う講義に生徒のみなさんも熱心に耳をかたむけています。 参加した中学生からは「気軽に聞けてよかった」「わからないところがよくわかった」「楽しく勉強できた。ありがとう」という声が聞かれ、好評を博しています。

来てミナーレ内浦

地元日引漁港で毎年開催されるイベントです。音海断崖を巡る湾内クルーズや釣り堀コーナーなどがあり、地元のみなさんにも人気の催し。その中で高浜発電所は高浜特産の五色貝の貝がらを使い、親子でフットランプを作る「貝がら細工教室」を開いています。 参加した方からは「地元の特産品を活用したいい取組みで、高浜のPRにもなります」「夏休みの自由課題の工作ができ助かりました。楽しく作れました」といった温かい言葉が寄せられています。

若狭たかはま漁火想

若狭たかはま漁火想

毎年7月に高浜町の城山海水浴場周辺で行われる、夏の恒例イベント。広い砂浜と町内の路地にキャンドルの灯りが広がる幻想的な催しです。同発電所からもキャンドルの設置や点灯のボランティアスタッフとして毎年十数名が参加、地元の方々にまじってイベント作りに一役買っています。

高浜町ってどんなところ?

日本海に面した高浜町は美しい自然に恵まれた地。また、歴史も古く、町内には1200年以上の歴史がある古いお寺もあります。そんな高浜町の見どころをご案内しましょう。

若狭たかはまエルどらんど

若狭たかはまエルどらんど

体験しながら楽しく遊べるサイエンスパーク。原子力について詳しく学べるアトムプラザや、科学の不思議を体験できるサイエンスワンダーなどで親子一緒に遊べます。熱帯雨林を再現した大温室「トロピカルワンダー」はまさにジャングル。3600もの熱帯植物や7500匹の熱帯魚に出会えます。ワンダーツアーでは音響と映像で映画の主人公のような気分が味わえます。

若狭たかはまエルどらんどについて 詳しくはこちら

高浜町内の見どころ
日引の棚田(ひびきのたなだ)

日引の棚田(ひびきのたなだ)

山の斜面を切り崩し、階段状に200枚もの水田が連なります。棚田の向こうには漁村や海が見え、懐かしい日本の風景が広がります。この棚田は「日本の棚田100選」にも選ばれました。

明鏡洞(めいきょうどう)

明鏡洞(めいきょうどう)

室町時代に築城されたという高浜城。その城跡にある「城山公園」内には、「八穴(やな)の奇勝」と呼ばれる海食洞があります。明鏡洞はその中で一番大きなもので、洞穴を通して見た水平線が、鏡に映った別の景色のように見えることからこう名付けられました。

そのほか、音海の断崖や五色山公園、1200年以上の歴史がある正楽寺や中山寺など、ドライブ、歴史散歩にぴったりのスポットが点在しています。

高浜発電所ほか関西電力の原子力発電について 詳しくはこちら

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