【東日本大震災】除染しながら遺体搬送
2011/04/15 10:09更新
記事本文
≪半径10キロ圏 行方不明者の捜索開始≫
放射性物質の放出が続く福島第1原発の事故で、福島県警は4月14日、事故後初めて原発から半径10キロ圏内で機動隊員ら300人を動員して行方不明者の捜索を行い、10遺体を発見した。第1原発から約7キロ離れた浪江町の請戸(うけど)漁港付近では、午前10時から県警機動隊員や消防署の隊員らが捜索した。県警によると、捜索班約260人のほか、放射線量を計測するモニタリング班や遺体を収容する搬送班などが加わった。
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記事本文の続き ■壊滅状態
重機を使わず、警察官たちは丁寧にがれきを取り除きながら捜索を続けた。「ご遺体発見。傷んだ状態で性別不明」-。現場近くに設置された指揮所に無線交信が響く。
捜索が行われた請戸漁港や、漁港から西に約1キロの請戸川周辺は、震災前は水田や住宅が広がる静かな集落だった。しかし今は津波で流されてきたとみられる2階建ての住宅に別のがれきが何層にも重なり、以前の姿は想像もできない。
若い警察官が、がれきの中から見つけた1冊のアルバムを道ばたに無言で置いた。開くと、ちゃんちゃんこを着た女の赤ちゃんを笑顔で抱く家族のスナップ写真があった。写真には「昭和60年 初めてのお正月。」と書き添えられていた。アルバムには、ほかにも家族で鍋を囲んだり、遊園地の遊具に乗ったりと、楽しい様子の写真がいっぱいだった。
別の場所には、黒いランドセルも。持ち上げると、水を吸って、ずしりと重かった。
捜索で見つかる遺体や遺留品は、放射性物質(放射能)に汚染されている恐れがあり、警察官が測定器で放射線量を確かめながら収容する。汚染が進んだ遺体は水で除染し、家族の元に返すという。
この後、海に近い請戸橋付近へ移動。橋の下で、住民が放したとみられる数頭のやせ細った牛が走り回ったり、川の水を飲んだりしていた。見渡すと、押し流された漁船やがれきのはるか向こうに、福島第1原発の排気筒と建物が見渡せる。
この日は好天。請戸川上流の土手では暖かい日差しを受け、桜が咲いていた。一方、JR浪江駅周辺は地震で切れた電線が垂れ下がったり、信号機が折れ曲がったまま。夏はスズキやホッキ貝、秋はサケやマコガレイが水揚げされる請戸漁港のそばには、磯料理の店が軒を連ねていたが、今は津波で流されて見る影もない。
■「ようやく来られた」
10~20キロ圏では3日から捜索を再開しており、14日以降は、20キロ圏内の捜索態勢は約550人に。捜索の陣頭指揮を執った福島県警の松本光弘本部長は「ようやくここまで来られた。大切な人や財産を失った方々の痛みを、同じ福島県民として痛感している」と語った。その上で、「安全を確保しながら捜索を進めたい」と表情を引き締めた。
福島県警が行方不明者の捜索を本格的に始めたことについて、中野寛成国家公安委員長は14日、記者会見で「勇気ある決断をし、敬意を表したい」と話した。
(中川真/SANKEI EXPRESS)
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