首相しどろもどろ・開き直り…初動遅れ追及され
読売新聞 4月19日(火)9時28分配信
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読売新聞 |
震災後2回目となった首相の国会答弁では、国家の指導者として必要な認識の甘さや、初動の遅れが次々とあらわになり、首相の危機管理能力に改めて疑問符がついた。
◆続投を宣言
首相の国会答弁は、3月29日に2011年度予算を審議するため参院予算委に出席して以来、3週間ぶり。震災対応に絞って国会で質問を受けるのは初めてだ。
東京電力福島第一原子力発電所事故に関し、首相は「非常用電源がダウンしたということは、予測の甘さがあり、それが一つの原因になったことは免れない。政府も十分に事前にチェックできなかったことについてはおわび申し上げたい」と事故防止対策の甘さを認めて陳謝した。
だが、首相が低姿勢で応じたのは主に東電が対応すべきだった点に限られた。自らの対応ぶりについては「初動が不十分だったという指摘は当たらない」「国民から一定の評価はいただいている」の一点張り。たちあがれ日本の片山虎之助氏に「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれだ。復興の道筋をつけたら首相を辞めるのも選択肢の一つだ」と迫られても、「復旧・復興と財政再建を含め、(衆院議員の)任期が2年半後に来るまでに与野党共同の形が取れれば本望だ」と一蹴し、任期いっぱいの続投を宣言した。
◆しどろもどろ
強気で押した首相だが、野党議員の追及が進むにつれ、しどろもどろの答弁も目立った。
自民党の脇雅史氏は、震災当日に福島第一原発の1、2号機の緊急炉心冷却装置が使用不能になってから、政府が原子力緊急事態宣言を発令するまで2時間半かかったことを挙げ、「初動の遅れは大変な問題だ」と批判した。首相は「原子力災害対策特別措置法に基づいて、全力を挙げて行動している」と反論した。
しかし、脇氏が昨年10月に原子力安全基盤機構がまとめた「原子炉を冷却できない状態が3時間半続くと、圧力容器が破損する」との報告書を引用し、「冷却不能」との報告時にただちに宣言すべきだったとたたみかけると、首相は「ご指摘のものは読んでいない」と認めざるを得なかった。
震災前に、首相が危機管理の重要性を十分認識していなかった可能性も浮上した。
「詳しい内容は記憶していない。地震を想定したことではなかったか」。首相がこう答弁したのは、昨年10月に行われた政府の原子力総合防災訓練の内容について、脇氏がただした時だ。
この訓練のシナリオには、地震発生は含まれていなかった。それよりも、訓練の主眼は、静岡県の中部電力浜岡原発で原子炉の冷却機能が喪失し、放射性物質が放出される恐れがある――という、今回の原発事故とほぼ同じ事態を想定したものだった。この訓練に、首相自身は「本部長」として首相官邸で参加していた。
訓練後、関係省庁がまとめる評価結果が半年たっても仕上がっていないことも指摘されたが、首相は「首相は森羅万象のことに対応しないといけない。私は細かいところまで全てを承知していない」と開き直った。
最終更新:4月19日(火)15時13分
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