オリックス−日本ハム 6回裏1死一塁、T−岡田を遊撃併殺打に打ち取り、捕手大野のリードをたたえるダルビッシュ=ほっともっとフィールド神戸で(岡本沙樹撮影)
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◆オリックス8−2日本ハム
8回、最後の打者森山を空振り三振に仕留めた球は95キロのスローカーブだった。最速154キロの速球で押しまくったものの、自己ワースト7失点を喫した開幕戦とはまるで別人。「寒くて体が動かなかったので、慎重に、低めにと考えていた」。コントロールを重視したピッチングで、8イニング4安打1失点。ダルビッシュが2度目の登板で今季初勝利を挙げた。
119球のうち、90〜100キロ台のスローカーブが実に21球。「打者の反応も良くなかったので。あれを入れたことで打者が真っすぐにも遅れてきたし、カーブもどんどん振ってきてくれた」。真っすぐの最速は148キロに留まったが、カーブとのコンビネーションで打者をほんろう。万能右腕の引き出しの多さが際立った。
名護キャンプのブルペンでのことだった。新しい統一球で投球練習を行っていたダルビッシュは頻繁にニューボールに取り換えながら、ピッチングを続けた。「しばらく投げていると滑らなくなってくる。僕は滑る方が投げやすいですね。スライダーの曲がりも良くなった」。縫い目の幅が1ミリ広がり、高さが0・2ミリ高くなったことで滑りやすいと言われる統一球。対応に苦慮する投手が多い中、すぐさま適応しただけでなく、特徴を逆手に取って、新たな武器に変えてしまう。柔軟性と遊び心がダルビッシュの神業的ピッチングを支えている。
開幕前の実戦では23イニングを投げてわずか2失点と完ぺきな内容でシーズンに入った。だが、実は体調は万全ではなかった。「結果は出ていたけど、コンディションが良くなかった。今はゆっくり体調を戻している段階」とダルビッシュ。絶対エースが本当の力を発揮するのはこれからだ。 (臼杵秀之)
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