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福島第1原発:県産野菜がネットで大人気

とまとランドいわきで箱詰めされる福島県産のトマト=同県いわき市で2011年4月19日午前11時21分、袴田貴行撮影
とまとランドいわきで箱詰めされる福島県産のトマト=同県いわき市で2011年4月19日午前11時21分、袴田貴行撮影

 福島県の農家が福島第1原子力発電所の事故の影響で風評被害に悩むなか、全国の消費者がインターネットを通じ福島産の農産物を直接購入する動きが広がっている。JA全農福島のネット販売は、米や野菜、農産物加工品など約20品目すべてが例年以上の注文を受け、中には品切れになった商品も。市場を介した小売りは値崩れする傾向にあり、価格に変化がないネット販売が地元農家の心強い味方になりつつある。

 ◇ジュース品切れ トマト取扱3倍

 JA全農福島によると、ネット販売している果汁ジュース「福島桃の恵み」が19日、品切れになった。例年、夏に収穫して9月から製造を始めるが、4月の段階で売り切れたのは過去に例がない早さで、ほかに在庫がないかを確認している。

 また、水耕栽培のトマトを販売するいわき市の「とまとランドいわき」では、ネット販売の取扱件数が例年の約3倍になっている。原発事故の前後で、価格は変わっていない。市場や仲卸業者を介した販売が例年の半額以下で取引されている状況と対照的だ。

 とまとランドいわきは原発から約35キロの地域にあるが、すべてがハウス栽培のため、自主的に検査した放射線濃度にも問題はみられなかったという。

 事故直後、35人の全従業員はいったん退避し、3月17日から営業再開したが、市場や仲卸業者から出荷を断られる状態が1週間続いた。

 ◇激励メール・手紙800通

 だが、その間に苦境を知った各地の消費者からの注文が次第に増え、今では3割がネットによる直接販売が占めるようになった。「風評に負けずにこれからもおいしいトマトを作ってください」などと激励するメールや手紙も約800通寄せられているという。

 元木寛専務は「消費者からの応援で何とか経営できている。ありがたい。でも、やはりメーンであるスーパーや小売店でも適正価格で売ってほしい。『福島産』というだけで安く売られる状況は厳しい」と話している。【袴田貴行】

毎日新聞 2011年4月20日 2時31分(最終更新 4月20日 2時41分)

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