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福島第1原発であまり言及されていないが深刻さを示している可能性がある「バリウム140」と「塩素38」の意味

ノンセクション2011年04月14日 09:55 | フォルダ : 

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 11日に開催された原水爆禁止日本協議会のシンポジウムで、テレビでもおなじみの放射線防護学の専門家・野口邦和氏(日本大学専任講師)が興味深い指摘をしていた。
 福島第1原発から漏出している放射性物質ではもっぱらヨウ素131(I-131=半減期約8日)やセシウム134(Cs-134=同約2年)、セシウム136(Cs-136=同約13日)、セシウム137(Cs-137=同約30年)がメディアで報じられてきたが、野口氏はバリウム140(Ba-140=同約13日)に注目した。
 バリウム140は、東京電力が3月27日に発表した福島第1の2号機タービン建屋地下階のたまり水の測定結果に記されている。
 「バリウム140は本来、燃料棒の中に閉じ込められているもの。それが出てきているということは、(燃料棒が)バラバラになって水に溶けているのだと思う。こんなものが出てきたということは、(有害な)ストロンチウム、ウラン、プルトニウムも出ているのかもしれない」
 案の定というべきか、まさに野口氏が指摘した翌日の12日、微量ながら放射性ストロンチウムが福島県内の土壌から検出されたと文部科学省が発表した。
 これとは別に専門家が関心を寄せているのが、1号機タービン建屋地下のたまり水から検出された塩素38(Cl-38=同約37分)。東電が3月25日に発表した検出結果にあった。米モントレー国際問題研究所不拡散研究センターのフェレンス・ダルノキーペレス研究員は「その存在自体、そんなに高濃度で存在していることが私を当惑させた」として論文を発表。世界的科学誌「ネイチャー」などのサイトに掲載され、アクセスが集中したという。「ピース・フィロソフィー・センター」のブログで日本語訳を読める。
 論文によると塩素38は、天然の食塩(塩化ナトリウム=NaCl)に24%含まれている「塩素37」が中性子を1つ吸収してできたもの。つまり、塩素37に中性子がぶつかったことを意味する。それが高濃度で検出されたということで、ダルノキーペレス氏はシミュレーション計算によって、塩素37にぶつかる中性子の出所を探った。もちろん、塩化カルシウムは原子炉に大量に浴びせられ、注入された海水が源だ。
 論文は中性子の放出について、1号機で再臨界(核分裂の再連鎖反応)があった可能性も示唆しているが「詳細が分からなくては核心を持つことは困難」だと結論づけるにとどめた。
 再臨界が生じるとどうなるのか。
 全原発の廃止を訴える「たんぽぽ舎」の山崎久隆副代表は市民向けの学習会で「爆発が起きることはないだろう」と話した。しかし、「放射能汚染が続き、(危険な)中性子線を出すので(原発作業員が)危なくて(復旧の)作業ができない」と2つのやっかいな事態を指摘。現状では「本当に再臨界が起きているかは分からない」と言う。
 圧力容器、格納容器、建屋でどんな事態が進行しているのか。
 バリウム140はそれを知る重要な手がかりになる一つのはずだが、東京電力は3月30日採取試料をもって発表しなくなった。その後も発表しているのはヨウ素131、セシウム137、セシウム134についてのみ。バリウム140や塩素38はどうなっているのか分からない。
 東電は過去の検出内容に疑義があると4日に発表し、保安院の口頭による厳重注意を受けて3月25、27日分を含む過去のデータを再チェックしている。そのため、現在はデータ発表をヨウ素とセシウムに限定しているのだが、野口氏は「きちんと測定して、出せるものは全部出してもらいたい」と注文をつけた。
 
 
 
 

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