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ひと:呉賛益さん 済州島を「世界7大自然景観」にと活動

 「海へと直接落ちる滝や奇岩の数々。大阪府ほどの小さな火山島に独特の自然が凝縮されているのが魅力です」。スイスの財団が主宰する「世界7大自然景観」に韓国・済州島を入れようと奮闘中だ。両親まで先祖代々が島で暮らした在日2世の経済人という立場から、1月に日本での推進委員長を委嘱された。

 済州島はかつて、政治抗争で敗れた人たちが送られた流刑の地だった。自身の祖先も約500年前に流されてきたという。26歳で初訪問したときは「貧しいな」と感じる一方で、自然や魚介類中心の食文化にすぐ溶け込めた。

 02年に生物圏保存地域、07年に世界自然遺産、10年に世界ジオパーク(地質公園)に選ばれた。島民が誇る島の象徴は標高1951メートルのハルラ山。「みんなが愛しているのでゴミ一つありません」。戦前、大阪との定期航路があり、在日1世は島出身者が多い。その人脈も生かし、PRのため韓国領事館のある札幌、広島、福岡などへの行脚を始めた。

 7大景観は、アマゾン川やキリマンジャロなどを含む世界28の最終候補地から絞り込む。ネットや電話での投票を11月10日まで受け付けている。「7大景観に選ばれ、世界自然遺産などと合わせて“4冠”となれば、世界からもっと観光客が訪れ、日本にも波及効果があるはずです」。投票は主宰者ホームページ(http://www.new7wonders.com)で。【真野森作】

 【略歴】呉賛益(オ・チャンイク)さん 福島県いわき市出身。製紙会社の社会人野球選手を経て東京都内で不動産業を経営。東京韓国商工会議所名誉会長。64歳。

毎日新聞 2011年4月19日 0時09分

 

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