上毛新聞トップへ 更新日時: 2011年4月14日(木) AM 07:11
●放射能風評被害 工業製品に拡大
 福島第1原発事故による放射能汚染への風評被害が工業製品にも拡大している。海外の取引先から安全確認を要求されるケースが相次ぎ、県内企業は説明や自社検査など対応に追われている。東日本大震災で生産停滞などに苦しむ企業に追い打ちとなり、輸出産業が集積する本県経済への打撃となりかねない。県は放射線測定機を近く導入し、独自の安全証明書を発行して風評被害の拡大防止に全力を挙げる方針だ。

 イタリアの大手百貨店が今月から現地で開設している「ジャパンコーナー」。衣料品製造の松井ニット技研(桐生市)のマフラーと帽子も出展予定で、品物も送ったが、関係者が訪れたところ対象から外されていた。理由を確認中だが、同社は「放射能問題が影響した恐れもあり、今後が心配」と不安そうに話す。

 充電池製造のFDKトワイセル(高崎市)は欧州の取引企業から放射線測定を要求され、社内で独自検査して安全性を証明し、取引を続けることができた。担当者は「日本製品の安全性が不安視されれば、国際競争力が低下しかねない」と危機感をにじませる。

 高崎市などに生産拠点がある太陽誘電(東京都)は、海外の取引先数社から安全証明書の提出を求められた。同社は工場が原発から遠いことなどを説明して納得してもらったが「海外企業は日本国内の地理を把握しにくく、必要以上に不安が強い」と懸念を示す。

 こうした風評被害に対抗するため、県内の商工会議所は会員企業に対し、県内で検出された放射能水準や生産場所などを表示する「サイン証明」の発行を開始。前橋や太田が機械部品メーカーなどに発行したほか、伊勢崎や渋川にも問い合わせが寄せられている。

 内陸型通関拠点の第3セクター、太田国際貨物ターミナル(太田市)は原発事故後、放射線測定機を導入した。「念のための措置」だが、必要に応じて輸出の際に活用する。

 県産業技術センター(前橋市)には13日までに「放射能を測れないか」「取引先に安全を証明しろと言われた」との相談52件が寄せられた。同センターは「過敏な反応を見ると、海外で『放射能汚染』が一時的にパニックになっている恐れがある。県内企業が不利にならないよう、安全を裏付けられるようにしたい」としている。

 県は放射線測定機3台を近く導入し、同センターや繊維工業試験場(桐生市)で測定や証明書発行を行うことにしている。
ロード中 関連記事を取得中...
 
上毛新聞HOMEへ ]

 
   
・100億超 緊急補正・県
・放射能風評被害 工業製品に拡大
・即応予備自衛官 県内80人初出動
・咲いた 並んだ 1万2000本
・ぽかぽか″。年一番
・田植え 県内一番乗り・板倉
・演奏会で「ふるさと」合唱・片品
・家族で甘楽の名所巡る・福島の鈴木さん
・「赤谷プロジェクト」公開講演会・前橋
・東北農家の樹皮工芸展・大泉
・【コラム】三山春秋
47NEWS
 
47CLUB
特集・連載
▼上毛新聞
  2010参議院選挙・群馬
  高校野球情報
  尾瀬国立公園
  選挙結果
  新聞連動画
  シルクカントリーぐんま
  論壇ぐんま
  視点 オピニオン21
  電子速報
  群馬ダイヤモンドペガサス
  ザスパ草津
▼共同通信
  蹄疫問題
  サッカー・ワールドカップ
  第22回参議院議員選挙
  日本人大リーガー
  北朝鮮問題
上毛新聞社から
  会社案内
  著作権について
  リンクについて
  写真サービスのご案内
  データベースのご案内
  AdSense広告について
上毛新聞公式サイト・トップページへ

raijin.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。Copyright JOMO SHINBUN. All right reserved.

上 毛 新 聞 社 / 371-8666 群馬県前橋市古市町1-50-21