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東日本大震災:はさき漁協、水揚げ拒否 せっかく取ったのに 風評被害が拡大 /茨城

 鹿島灘沖で操業した「はさき漁協」(神栖市波崎)所属の底引き網漁船「第五松丸」(15トン)が5日、千葉県銚子市の銚子漁港魚市場に水揚げを拒否された問題が浮上し、茨城沖で水揚げされた魚類に対する風評被害が広がりつつある実態が浮き彫りになった。同漁協関係者によると、銚子漁港では3月末から茨城県の漁船に対し操業海域などを明記した文書提出を求めており、事実上、茨城沖の水揚げを拒否していたという。

 第五松丸は、篠塚松彦船長(52)ら4人が鹿島灘沖合約35キロ付近で操業し、5日午前6時ごろ、ボタンエビやキンキなどを水揚げしようとしたが拒否された。同市場から入港を控えるよう電話を受けた母良子さん(83)は「50年以上も銚子の市場に水揚げしてきたのに、こんな事は初めて。せっかく取ったのに悔しい」と話した。

 同漁協所属の「大勝丸」船主、遠藤勝司さん(79)によると、3月末に水揚げした際、船舶名や操業日、同位置、同海区、同時間などを記入する紙を銚子漁港の市場関係者から手渡されたという。九十九里浜の千葉県旭市飯岡漁港から約15キロ沖合でトローリング漁をし、サワラ約40本を銚子漁港に水揚げした大勝丸の船主の長男は「せっかく燃料を使って漁をしてきたのに茨城県産の魚だと無駄になってしまう。銚子より南で操業せざるをえない」と話した。

 6月中旬から9月にかけて鹿島灘沖では、ヒラメ刺し網漁が始まる。漁師たちは「年間を通じて一番の稼ぎ時に風評被害で漁ができなければ死活問題だ」と心配した。【岩本直紀】

 ◇千葉県水産課は「拒否の認識ない」

 千葉県は5日、茨城沖で水揚げされた魚の出荷自粛を求めた問題で銚子市漁協に「誤解を招かないように」と指導した。

 卸売市場法は「卸売市場の利用者に対して、不当に差別的な取り扱いをしてはならない」と定めている。県水産課は「県としては第一に銚子のブランドを守らなければならない。漁協からは『お互い納得済み』と説明を受けている。水揚げを拒否したという認識ではないが、若干の行き違いがあったようだ」と説明している。【駒木智一】

毎日新聞 2011年4月6日 地方版

 
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