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上海国際モーターショー:日本は存在感アをピール

 中国・上海で19日、世界最大級の自動車展示会「2011上海国際モーターショー」が開幕した。日本の自動車メーカーは東日本大震災の影響で減産を余儀なくされる“ハンディ”を負う中、世界一の自動車市場である中国での存在感低下を防ぐため、各社ともトップが参加してエコカーや世界戦略車をアピールした。欧米各社も電気自動車(EV)の投入を表明するなどシェア確保に躍起だ。【上海・鈴木玲子、米川直己】

 日本からの部品供給不足で中国の工場でも週末操業を停止している日産自動車。展示会場でカルロス・ゴーン社長は「中国政府と国民の迅速な援助に感謝したい」と謝意を述べる一方、「日本の一日も早い正常化を願っている」と話した。

 トヨタ自動車の豊田章男社長は「日本の大きな困難にチャレンジし、世界に『もっと良いクルマ』を届けるのが使命」と表明。ホンダの伊東孝紳社長も「(震災の影響で)部品の現地調達や現地生産、車種の現地モデル化という傾向は今後強まるだろう」との見通しを示すなど、大手各社のトップが震災に言及する異例の幕開けとなった。

 一方で、各社は新車のアピールにも余念がない。トヨタは環境に優しいエコカーに加え、高級車や福祉車など過去最大の50車種を展示。豊田社長は「中国の道路事情に合ったエコカーを開発する。あらゆる環境技術を中国に導入したい」と述べ、中国国内で技術開発に取り組む姿勢を強調。日産は、ハッチバックタイプの新型「ティーダ」を初公開。ティーダは5月末の中国を皮切りに世界展開する戦略車で、中国重視の姿勢をPR。

 ホンダの伊東社長は12年を目標にEVの現地生産を始めることを表明した。またハイブリッド車の「インサイト」と「CR-Z」も12年に発売してエコカーを拡充する。現地合弁会社の自主ブランド「理念」で低価格車「S1」の販売を開始しており、若者層も取り込みたい考えだ。

 ◇欧米各社は新車を公開

 欧米メーカーの取り組みも活発で、相次いで新型車を公開した。米ゼネラル・モーターズ(GM)はシボレーブランドの世界戦略車「マリブ」の新型車を初公開。自主ブランド「宝駿」から低価格車「宝駿630」(60万円台から)も出展。プラグインハイブリッドのスポーツタイプ多目的車(SUV)「エンビジョン」も出展し、低価格車からエコカーまで幅広くアピールした。

 独フォルクスワーゲン(VW)も世界に先駆けて新型「ビートル」を公開。マーティン・ウィンターコルン最高経営責任者(CEO)が13年にもEVを現地生産する方針を明らかにした。

 GMとVWは中国市場でシェア1位を争っており、GMは今後5年間で60車種を中国に投入する。VWも幅広い車種で対抗する方針だ。海外勢では、低価格車で強みを持つ韓国・現代自動車も12年までに現地で年産100万台体制を整える計画で、シェア争いはさらに激しさを増しそうだ。

毎日新聞 2011年4月19日 21時04分

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