布川 代表が福祉のお仕事に就かれたきっかけから伺います。
鈴木 学生時代、募金活動に参加したことを機に興味を持ち、福祉の大学を卒業して障害者の施設に就職しました。学生時代はバンド活動もしていたので、進路を決めるときには福祉を選ぶか音楽の道に進むかで悩みましたが、福祉事業に就いても音楽はできるし、むしろ仕事にも活かせると考えたんです。そして音楽療法を学ぶためにスウェーデンに行ったのですが、日本の福祉が立ち遅れていることを目の当たりにし、一旦音楽を置いてでも福祉の仕組みづくりに携わることが急務だと感じましてね。スウェーデンでは障害がある人もない人も同じ権利が与えられ、同じように地域の中で暮らしている。ノーマライゼーションが当然に息づいているのです。一方、日本では障害者と接する機会が少なく、理解度も低い。その点を変えていかなければ、と考えて起業を決意しました。
布川 川内事務局長との出会いは?
川内 私がボランティア連絡協議会の役員をしていたときに、鈴木が「こういう事業を手掛けたい」と相談に来たんです。色々お話をする中で理念に賛同し、お手伝いさせて頂くことにしました。
布川 その理念を詳しく教えて下さい。
鈴木 日本における「福祉」では、施設という箱物を作り、その中で対象者を生活させるという感覚ですが、我々は地域の中で、地元の皆さんと支え合いながら障害者が生きていくという理想を掲げています。そういう社会は私たちにとっても住み良いはずだと思っていますし、日本中にも浸透させたい。そのためにもまずはこの刈谷市でモデルケースを成功させたい、と考えています。
布川 具体的にはどのような活動をしておられるのですか。
鈴木 生活支援センターでは通常のサービスのほか、児童デイサービス、宿泊機能も備えており、一時預かりなども行っています。また、就労支援センターでは地元企業での就労に向けたトレーニングや就労後のフォローアップを行い、障害を持つスタッフが働く場としてクリーニング取次店も展開しているんですよ。彼らが自信を持って社会で活躍する姿を見るのは嬉しい。そうして日々障害者やスタッフと接する中で、私自身も多くのことを学び、互いに支え合って成長していることを実感しています。
布川 では最後に、今後の展望をお聞かせ下さい。
鈴木 設立からまもなく6年となり、徐々に障害者が地域の中で暮らしていけるシステムができ始めています。まずは地場でしっかりとしたモデルをつくり、それを他の地域にも広く浸透させたいですね。
布川 是非とも頑張って下さい! 本日はありがとうございました。
「賛同してくれた仲間と一緒に楽しく仕事をしています」
(事務局長 川内 理恵)