社長インタビュー

最終更新日:2010年12月14日

社長インタビュー

社長インタビュー

Q1.本年9月に新たな中期経営方針 「東京電力グループ 中長期成長宣言 2020ビジョン」を発表しましたが、新しいビジョンを策定した理由についてお聞かせください。

 平成16年に「経営ビジョン2010」を策定してから6年が経過しました。この間、電力自由化の進展や新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所の全号機停止といった厳しい経営環境が続きましたが、東京電力グループは、災害に強く安全・安心な原子力発電所の構築や徹底したコストダウン、サービスの向上などにグループ一丸となって取り組んでまいりました。

 一方で、世の中に目を転じると、少子高齢化・人口減少や産業構造の転換といった社会の構造変化に加え、省エネルギーの進展や地球温暖化問題、アジアを中心としたエネルギー消費の増大など、エネルギー・環境を巡る情勢は大きく変わりつつあります。こうした経営環境の変化は、東京電力グループの経営に様々なインパクトをもたらすことが予想されますが、私は、単に変化に対応するだけでなく、これまで築き上げてきた事業活動を一層掘り下げ、さらには幅広く展開するチャンスととらえ、より前向きな経営をすすめたいと考えております。

 このような認識のもと、次の10年に向けた「2020ビジョン」を策定し、新たなスタートを切ることとしました。

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Q2.「2020ビジョン」の特徴はどのようなものでしょうか。

 一言でいえば、「守り」から「攻め」への転換です。低廉で環境にやさしい電気を安定的にお届けすることは東京電力グループの変わらぬ使命ですが、これからはそれに加えて、持続的成長に向けた道を自ら開拓してまいりたいと考えております。今回「2020ビジョン」の中で、3つの経営指針を掲げておりますが、こうした方向性を端的に表しているのが、「未来を切り拓く」という指針です。ここでいう未来とは、低炭素で快適な未来を意味しています。私たち東京電力グループは、原子力発電の利用拡大をはじめとする電源のさらなる低炭素化やあらゆる分野における電化の推進などを通じ、そうした未来の実現に貢献するとともに、それを自らの成長につなげてまいります。また、国内で培った電気事業の技術、ノウハウを活かし、海外へも積極的に事業の「場」を拡げるなど、グループの強みを発揮できる成長事業を展開してまいりたいと考えております。

 こうした企業活動を行う前提であり、基本となるのは社会のみなさまからの「信頼」です。今回掲げた「社会の信頼を大切にする」という指針は、安定供給をはじめとした社会的使命をいつの時代も変わることなく果たしていくという、東京電力グループの基本姿勢を表しています。

 以上2つの指針のキーワードである「信頼」と「成長」を支える基盤となるのは、何といっても「人」です。人と人、組織と組織の連携を強化し、力を結集することで、より社会に貢献し、成長していく会社にしていきたいと考えております。こうした思いを私たちは「人と技術が活きる」という指針で表現しました。

 さらに、これらの経営指針のもと、「2020ビジョン」の実現に向けた具体的な取り組みとして、7つの「バリューアップplan」と「財務戦略」をあわせて策定しました。


「2020ビジョン」における3つの経営指針、7つの「バリューアップplan」

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Q3.今回、「2020ビジョン」とともに策定した、新たな「コーポレートスローガン」に込めた思いについてお聞かせください。

 「2020ビジョン」の考え方を端的に表したのが、“いつもの電気、もっと先へ。”というコーポレートスローガンです。

 社会のみなさまの信頼を大切にし、電気の安定供給などの社会的使命を果たしていくという「いつもの」取り組みは、これからも変わることはありません。そのうえで、「低炭素時代をリードする」という将来を見据えた「もっと先」の付加価値を提供していきたいという東京電力グループの思いをこのスローガンに込めています。  

Q4.「2020ビジョン」を実現するための今後の「財務戦略」についてお聞かせください。

 これまでは電力自由化の流れのなかでお客さまに選び続けていただくため、徹底したコストダウンにより電気料金の引き下げを行うとともに、有利子負債の削減によって財務体質を改善し、経営の持続性を保ってきました。これからも低廉で安定的な電気をお届けするための取り組みに変わりはありませんが、今後はそれだけにとどまらず、戦略的なキャッシュ配分を行い、成長に資する投資を積極的に行ってまいります。

 こうした考えに基づき、「2020ビジョン」においては「資金創出力」、「収益力」、「財務体質」という財務戦略上の3つの視点から目標を設定しました。「バリューアップplan」を着実にすすめることにより利益成長を実現し、これらの目標を達成してまいりたいと考えております。

財務戦略の全体像

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Q5.そうしたなか、実に29年ぶりとなる公募増資を実施しました。なぜ増資を行ったのでしょうか。
 東京電力グループは、「2020ビジョン」に基づき、財務の健全性を維持しながら、環境性と企業収益を両立しうる資産を形成することで、持続的な成長をめざしてまいります。そのためには、大規模かつ集中的な投資を、時機を逃さず積極的に行う必要があり、増資という形での資金調達が最良であると考えました。これにより、原子力開発等の低炭素化投資とともに、海外の発電事業への参画などをはじめとする成長事業投資を推進してまいります。
Q6.最後に、株主のみなさまへのメッセージをお願いします。
 「2020ビジョン」は私たちの中長期成長宣言です。この「2020ビジョン」のもと、東京電力グループの持続的成長を実現し、その成果を株主のみなさまと共有してまいりたいと考えておりますので、今後とも変わらぬご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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