ウランちゃんのなるほどアトム教室

最近よく聞く、制御棒と臨界について教えてください。


アンサー
原子力発電は、ウランの核分裂反応で発生する熱エネルギーを利用しています。

原子炉では、制御棒によりウランの核分裂によって発生する中性子の数を調節し、核分裂を継続的に起こさせています。1個のウラン原子が核分裂する際には、2〜3個の中性子が発生しますが、そのうちの1個の中性子が次の核分裂に使われるようにし、制御棒が余分の中性子を吸収し、核分裂の連鎖反応が一定の状態で続く状態を保つようにしています。これが臨界状態です。

数多くの中性子が制御棒に吸収されるようにすれば、核分裂の回数は減少し、出力も減少し続けます(臨界未満)。逆に吸収する中性子の数が少なくなれば、核分裂の回数は増加し、出力は上昇し続けます(臨界超過)。

原子炉では、制御棒をウラン燃料の間に配置し、上下に動かすことによって、吸収する中性子の数を調節し、出力をコントロールしているのです。原子炉を緊急に停止させる必要があるときは、制御棒を全て挿入し、原子炉を停止させます。制御棒は、自動車で言えば、アクセルとブレーキを兼ねたようなものです。

制御棒には、ホウ素やハフニウムといった中性子を吸収しやすい元素が使われています。

原子炉圧力容器断面図 燃料集合体の構造