核問題:「寧辺の核施設、放射能汚染が深刻」

「科学者は皮膚がはがれるなど満身創痍」

 北朝鮮の核開発に携わった科学者の妻、キム・ヘスクさんは2009年11月、小説『人間でありたい』で、放射能汚染により満身創痍(そうい)となった夫の話を紹介した。キムさんは夫の様子を「皮膚がはがれて白い肉がむき出しとなり、歯も抜けて40代にして入れ歯になった。肝硬変もひどくなった」と表現した。

 キムさん(1998年に脱北)の夫は、80年代から平安北道寧辺の核施設に勤務していた。韓国政府の当局者は「北朝鮮は国際原子力機関(IAEA)の安全基準を無視し、核施設を稼働してきたと聞いている。寧辺には5メガワットの黒鉛減速型原子炉やプルトニウム(核兵器の原料)抽出のための再処理施設などが集まっており、放射能汚染は驚くべきレベルだろう」と話した。

 漢陽大原子力工学科のイ・ジェギ教授は「放射能で皮膚がはがれるほどなら、年間50ミリシーベルト以上の放射線を浴びていたはずだ」と語った。使用済み核燃料棒の冷却プールの水や再処理を終えた燃料棒など高濃度の放射性廃棄物に、安全装備が不十分な状態で触れていた可能性があるとの説明だ。一般人の年間被ばく許容値は約1ミリシーベルトとなっている。

 北朝鮮の消息筋は「寧辺の科学者には脱毛や嘔吐(おうと)、めまいを訴えるケースが多いと聞いている」と話した。このため北朝鮮の高官たちは、海外の要人を寧辺に案内する任務を最も嫌がるとの話も聞かれる。

 寧辺では約200人の科学者を含め、およそ3000人が核施設に勤務しているという。

アン・ヨンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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