April 17, 2011

チャイコフスキー記念東京バレエ団『ラ・バヤデール』16日

オランダ国立バレエ団のマシュー・ゴールディングが、フォーゲルの代役で初来日。下半身が少々重いが、胸板が厚く、逞しい腕を大きく使い華がある。虎狩りだけでなく実戦も強そうな戦士だ。正確な回転には品があり、恋人に向ける眼差しがセクシー。ニキヤの上野水香は登場の際の爪先に表情があり、背中を意識して立体的な踊りを心がけた。婚約式のソロの長いバランスは、技術の誇示ではなく表現の延長として効果を発揮した。前半の「熱演」が未消化で、全幕を見通した踊りに今後は期待したい。主演二人は現代的な雰囲気という点で共通しており、ゴールディングの上野との相性はフォーゲル以上かもしれない。影の王国のコール・ド・バレエは美しいが僅かに物足りない。一糸乱れぬ様にヒマラヤの冷気のような凄みを期待するのは観客の我が侭だろうか。ブロンズ像に松下裕次、苦行僧に高橋竜太、ガムザッティに田中結子、煩悩たっぷりの大僧正に後藤晴雄。(森本ゆふ 2011/04/16 15:00 東京文化会館大ホール)



outofnice at 01:30短評 
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