第二話・英語には多少自信がある
休み時間、俺は一夏と話をしていた。
「へぇ~、世界初の男のIS装着者って通行なんだ」
「あァ、あンま目立ちたくねェからよォ、今まで隠して来たンだが、ある日の事だ。とある場所で凄腕のIS装着者に見つかっちまったんだよ」
「え、それって・・・」
「そ、千冬さン」
「やっぱり・・・」
と、こんな感じで俺の昔話をしていた。
「ちょっといいか」
「え?」
「ア?」
突然誰かに話しかけられたと思ったら、コイツは確か『篠ノ之 箒』だったな。ええと、うろ覚えな原作から思い出すと、確か一夏の幼馴染だったな。
「一夏ァ、言ってこい。知り合いだろ?」
「あ、ああ、解った」
「廊下でいいか?」
「お、おう」
一夏と篠ノ之は行った。ったく、アイツが居なくなったら一気に暇じゃねえかよ。仕方がない、教科書でも読むか。
そして、その休み時間は教科書を読んで過ごした。その間、やたら視線がウザかった。
余談だが、休み時間終了の少し後に戻ってきた一夏が千冬さんに叩かれた事を追記する。
~しばらくして~
「で、あるからしてISの基本的な運用には現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合、刑法によって罰せられ・・・」
山田先生が教科書を読み上げていく。最近までISの操縦技能を磨く事で頭が一杯だったのでこう言うISの歴史とかを学ぶのは凄い新鮮だ。中々楽しくて余所見をする暇が無い。と言うかできない。教室の端に千冬さんがいるので少しでも余所見をしようものなら容赦無く叩かれるだろう。って言うか一夏、あからさまに解らなくて慌てているという感じだぞ。
その後、一夏がアホな発言をしたり、千冬さんに叩かれたりして授業は終わった。
~しばらくして~
「う~がぁ~、死ぬぅ~」
一夏は(あるのかどうか解らない)頭が疲れたのか、机に突っ伏している。
「予習しとかねェおめェがわりィよ。いt、馬夏」
「うおい!今俺の名前と馬鹿を混ぜなかったか!?」
「ケケケ、なンの事やら」
やはり、コイツと話していると楽しい。原作とか関係無く。
「ちょっとよろしくて?」
「へ?」
「ア?」
話しかけてきた相手は、地毛の金髪が鮮やかな女だった。わずかにロールをかけて、高貴そうなオーラを出している、いかにも偉ぶっているイメージをさせる女だった。コイツは確か、
「おめェは、イギリス代表候補の『セシリア・オルコット』だったなァ。何か用かァ?」
「まあ!なんですのそのお返事。私に話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度と言うものがあるんではないのかしら?」
ウゼェ、一夏もコイツが女尊男卑主義者だと気づいたらしい。よし、無視しよう。
「一夏ァ、この問題はこうやるンだ」
「ヘェー、そうかぁ」
「ちょっと聞いてますの!?」
ッチ、五月蝿い奴だ。
「一つ質問があるがいいか?」
「ふん。下々の者の要求に答えるのも貴族の務めですわ。よろしくてよ」
「代表候補生って、何?」
ズデデ
俺と(話しを聞いていたらしい)数人の女子がずっこけた。
「あ、あ、あ・・・・」
「あ?」
「あなたっ、本気でおっしゃってますの!?」
スゲェ剣幕だな。マンガだったら血管マークが3つぐらい入ってんじゃねえの?
「おう、自慢じゃないが知らん」
そして馬鹿(一夏)は胸を張る。
「全く自慢にならねェよ馬鹿」
オルコットは怒りが一周して逆に冷静になったのか、頭が痛そうにこめかみを人差し指で押さえながら、ブツブツ言い出した。
「信じられない。信じられませんわ。極東の島国というのは、こうまで未開の地なのかしら。常識ですわよ常識。テレビが無いのかしら・・・・・」
何!?それは聞き捨てならないぞ!
「違う!一夏が群を抜いた馬鹿なンだ!」
「おいこら、どう言う意味だ!」
こんな馬鹿(一夏)一人のせいで日本が馬鹿にされるのは放っておけない。
「まァ、ンな事よりも一夏(馬鹿)、耳をかっぽじってよおォく聞ィとけ」
「おい、今『一夏』と書いて『馬鹿』って読まなかったか?」
「・・・代表候補ってェのはだな、読ンで字の如く、各国のIS操縦者の代表の候補生・・・はェ話がエリートの事を言ゥンだ。解ったか?」
「そう!エリートなのですわ!!」
立ち直りはえぇ~。
「本来ならわたくしのような選ばれた人間とは、クラスが同じというだけでも奇跡・・・幸運なのよ。その現実をもう少し理解して頂ける?」
やっぱウゼェ。
「そうか。それはラッキーだな」
「(アン)ラッキーだ」←棒読み
「・・・馬鹿にしてますの?」
おめぇが幸運って言ったんじゃねえかよ。メンドクセェ奴だな。
「大体、あなたISについて何も知らないくせに、よくここに入れましたわね。少しくらい知的さを感じさせるかと思っていましたけど、とんだ期待はずれですわね。もう一人の白い方がまだましですわ」
何か、おまけみたいに言われた。ヒドくね?
「しらねぇよ。期待されても困るんだが」
「ふん、まあでも?わたくしは優秀ですから、あなたのような人間にも優しくしてあげますわよ?」
その態度で優しくとか言われても説得力がねぇよ。
「ISの事で分からないことがあれば・・・そうですわね、泣いて頼まれたら教えて差し上げても良くてよ。なにせわたくし、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから」
「ハイハイワロスワロス」
「・・・やっぱり馬鹿にしていますわね?」
自分でエリートとか言っちゃてるよこの人。
「入試ってアレか?IS動かして戦うやつか?」
一夏が口を開いた。
「それ以外にありませんわ」
「あれ?俺も倒したぞ教官」
「は?・・・・・・・」
プッ!オルコットのあの呆けた顔、面白すぎ。
「通行は?」
「瞬殺だ瞬殺」
あんな戦場の空気も知らない雑魚、倒すのは簡単だった。
「わ、わたくしだけと聞きましたが?」
「女子だけってオチじゃないか?」
「ヨッ、代表候補(笑)」
ピシッ
何だ今の鋭い音。なんかこう、氷にヒビが入ったみたいな。
「つ、つまり、わたくしだけではないと・・・?」
「まあ、そうじゃね?」
「あ、あ、そんな事―――――」
キーンコーンカーンコーン
話に割って入ったのは、三時間目開始のチャイムだった。
「っ・・・・・!あたあとできますわ!逃げないことね!よくって!?」
もう二度とくんな。
~しばらくして~
「それでは、この時間は実践で使用する各種装備の特性について説明する」
一、二時間目とは違い、教壇に上がっているのは山田先生ではなく、千冬さんだった
「あぁ、その前に再来週行われるクラス対抗戦の代表者を決めないといけないな」
ふと、思い出したように千冬さんは言う。千冬さんの話を要約すると、早い話がクソ面倒な役職だ。しかも一年間は変更できない。当然、俺と一夏はそんな面倒っちいものをやりたくないので無言だった。
でも確か、原作だと一夏が指名されるんじゃなかったけ?
「はい!織斑君を推薦します!」
やっぱり。
「私もそれがいいと思います」
「はい!私は一方君がいいと思います」
Why?今の方なんて言いました?
「では候補者は織斑一夏と一方通行・・・他にはいないのか? 自薦推薦は問わんぞ」
「ちょ、ちょっと待った!? 俺!?」
「俺もだ!ンなメンドクセェ仕g≪バヒュンッ!≫っつ、てええェェ」
まさか、チョークを投げてくるとは。ってか今の本当に素手で投げたのか!?ありえねぇ音がしたぞ!?
「織斑、一方。席に着け、邪魔だ。他にいないのか? いないのならこの二人の中から代表を出すぞ」
「ック・・・!」
「諦めろ一夏。こうなったら腹括るしかねェだォ」
一夏と俺は諦めて席に着いた。ン?そういえばこの後、オルコットが講義しだすんじゃなかったか?
「待ってください! 納得がいきませんわ!」
やっぱり、一夏とのイベントのためにここは我慢しておこう。
「そのような選出は認められません!! 大体、男がクラス代表だなんていい恥曝しです! このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」
・・・・・・・・・・(怒)。生で聞くとやっぱムカつくな。でもここは我慢だ。
「実力から行けば私がクラス代表になるのは当然、それを物珍しいからと言う理由で極東の猿二匹にされては困ります! 私はこのような島国までIS技術の修練に来たのであってサーカスをする気は毛頭ございませんわ!」
我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢(怒×100)
「いいですか!? クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!」
ガマンガマンガマン・・ガマ・・ン
「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては――」
プッチーン
ドガァーン!
『!?』
つい切れて机を叩いた(ヒビが入っていたり、煙が出ているように見えるのは気のせいだろう)。全員の視線が俺に集まる。俺はオルコットを睨み付けてこう言った。
「Even the U.K. does not matter much; is particular about a habit one by one.Will you be killed?(訳・イギリスだって大した事ねェ癖にイチイチうるせェンだヨ。ぶっ殺すぞ)」
「な!」
しまった、怒りのせいでつい英語になっちまった。
「イギリスだって大してお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」
一夏は全く動じずにオルコットに言う。どうやらコイツもかなりキているらしい。
「あっ、あっ、あなたがた! わたくしの祖国を侮辱しますの!?」
「テメェのそのアホみたいな振る舞いがテメェの国のレベルの低さを愉快にかもし出してンだよカァス」
「っな!け、決闘ですわ!」
やっちまったよ。原作を狂わしちまったよ。
「あなた方二人、同時に相手して差し上げますわ!」
「「だが断る」」
俺と一夏の声が重なった。
「侮るなよ。真剣勝負で男が女相手に二対一なんて卑怯なことするはずないだろ!」
「ってかよォ、勝った時に『二人がかりでこられたから負けましたわ!』とか言い訳させたくねェしなァ」
俺の言葉にオルコットは青筋を浮かべている。
「言っておきますけど、わざと負けたりしたらわたくしの小間使い――いいえ、奴隷にしますわよ」
現代に奴隷という身分は存在しません。
「いいぜ。小間使いでも奴隷でも何にでもなってやるよ!」
はっはっは、一夏君、見上げた根性だね。
「ハンデはどれぐらいつける?」
と思ったけど、やっぱ調子に乗ってるだけだろ一夏。
「あら、早速お願いかしら?」
「いや、俺がどのくらいハンデつけたらいいのかなーと」
その瞬間、俺の周囲の女子の爆笑が巻き起こる。耳障りだ。
「お、織斑くん、それ本気で言ってるの?」
「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」
コイツ等は何を勘違いしているのやら。
「オメェ等は所詮さァ、ISと言う名の借り物の力で君臨してイるダケだろォ?。逆を言えばさァ、ISが無くなると掴めば折れる程貧弱な存在だろォが。まあ、例外もいるけど、さっ」
その瞬間、笑い声はやむ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
教室を静寂が包む。これはこれでウゼェ。
「・・・・次からは言葉を選んでから喋るンだな」
俺は吐き捨てるように言う。
「ンじゃ、戦う順番は俺と一夏がジャンケンで決めとくぜ」
流石に空気が重たいので話を逸らして回避する。
「さて、話はまとまったな。それでは勝負は一週間後の月曜日。放課後、第三アリーナで行う。織斑とオルコット、一方はそれぞれ用意しておくように。それでは授業を始める」
ぱんっと手を打って千冬さんが授業を再開する。
さぁ~て、月曜日が楽しみだ。
END
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