炭素繊維再生、事業化へ 美濃加茂のベンチャーが技術開発
2011年04月14日09:11
写真:炭素繊維再生、事業化へ 美濃加茂のベンチャーが技術開発
部品の端材から再生させた炭素繊維

◆自動車部品用に売り込み

 ベンチャー企業のカーボンファイバーリサイクル工業(美濃加茂市牧野、板津秀人社長)は3年後をめどに炭素繊維(カーボンファイバー)の再生加工を事業化する。自動車部品メーカーへの売り込みを図り、事業化初年度の売上高3億円を目指す。鉄より4分の1ほど軽く、10倍近い強度の炭素繊維は航空機をはじめ、自動車の部品にも多く使われ始めている。

 大手繊維メーカーや大学を中心に再生利用の研究も進んでいるが、同社はこの再生技術の開発に成功。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や経済産業省の補助金も得て、量産化、製品化の技術開発に着手した。

 同社の技術は、工場などで出る炭素繊維の端材をリサイクルするもの。2段階に分けて加熱処理をすることで、炭素繊維を固める樹脂のみを燃焼させ、糸状で取り出すことを可能にした。現在の生産能力は月5トンだが、事業化までに30トンへ増強する。

 再生炭素繊維の強度は新品より10%ほど低くなるが、価格は10分の1ほどに設定できる。同社はより付加価値の高い不織布やボードでの製品化を目指している。

 板津社長は大手繊維メーカーでタイルの開発などに取り組み、そこで得たノウハウを基に同社を設立した。加熱炉は陶磁器用の物を改造したといい、「岐阜の地場産業の技術がベースになっている。電気自動車などへの展開を目指す」としている。