「そこは〝死の灰〟が降る戦場だった」
作業員が語る福島第一原発の内部!

2011年04月16日(土) フライデー

フライデー経済の死角

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4月1日、放射性物質の拡散を防ぐために緑色の合成樹脂を散布する作業員(東京電力提供)

 1日目の作業を終え、私たちは免震棟で支給された弁当を食べましたが、気が気ではありません。『東電は、俺たちの被曝量をごまかしているんじゃないか』『本当は測定できないほど大量の放射線が出ているのかもしれない』。作業員はみな不安を口にし、表情は曇っていました」

 作業を終えたA氏らは、夕方、バスでJヴィレッジに戻る。そして周囲の温泉旅館などに分かれ、大部屋で数人ごとに宿泊。翌日は早朝5時に出発し、前日同様午前中に20~30分ほど作業に当たった。

「仕事は2日間の予定でしたが、機材などの調達が遅れ元請け会社の所長に『もう1日だけお願いします』と頼まれたため、結局3月27日まで福島第一原発にいました。東電の社員も現場にいましたが、作業員任せで特に指示はありません。私たちは淡々と仕事をこなしていました。

 私たち作業員の詰め所になっていた免震棟にはテレビがあり、枝野幸男官房長官が『原発は安全だ』と繰り返しているのを聞きましたが、『何を言っているんだ』という気分でしたね。原発内の凄まじい現状を知らないのに、よく安易に『安全だ』なんて言えるものだと。

 免震棟には500人ほどの作業員がいましたが、過酷な労働環境と被曝への不安から、みんな疲弊していました。廊下にも人が溢れ、作業を終えるとJヴィレッジへのバスを待つ数時間、疲れた顔をして無言で座っているんです。一部では『震災後の作業員は日当40万円で雇われている』という報道がありましたが、私の知る限りそんな契約で来た人はいません。私の日当は1万5000円ほどですが、元請け先からは『いつもと変わらないように請求してください』と言われています」

 東京の「安全な」会見場で福島第一原発の状況を発表している政府や東電幹部は、A氏の明かす「原発内部の惨状」をどう受け止めるのだろうか。これほど危険な状況で作業に従事しながら、A氏は「要請されれば、また福島第一原発に戻ります。私たちの他に誰もやる人はいませんから」と力強く語った。

 

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