福島第一原子力発電所の事故で、厚生労働省は先月17日以降、食品に含まれる放射性物質の量について暫定的な基準を定めています。基準値は、ヨウ素やセシウム、ウランなど放射性物質の種類ごとに設けられ、基準値を超える食品について国は食用にしないよう求めています。
【放射性ヨウ素】放射性ヨウ素は▽飲料水では1リットル当たり300ベクレル。▽乳製品1キログラム当たり300ベクレル。放射性ヨウ素は子どもへの影響が大きいため、1歳未満の乳児が飲む粉ミルクと子どもが多く消費する牛乳については別に基準値が設けられ、1キログラム当たり100ベクレルと特に厳しくなっています。また、▽イモや根菜を除く野菜については1キログラム当たり2000ベクレル。▽当初は基準が無かった魚介類についても1キログラム当たり2000ベクレルとされました。【放射性セシウム】放射性セシウムについては▽飲料水では1リットル当たり200ベクレル。▽牛乳・乳製品も1キログラム当たり200ベクレル。▽野菜や肉、それに卵や魚などそのほかの食品については500ベクレルとなっています。放射性セシウムの基準値は検出に時間のかかる放射性ストロンチウムが一定量含まれることを前提としているため、余裕をもって設定されています。【ウラン】ウランは▽飲料水と牛乳・乳製品、それに乳幼児用の食品ではいずれも1キログラム当たり20ベクレル。▽野菜やコメなどの穀類、肉や魚、卵などそのほかの食品では1キログラム当たり100ベクレルとなっています。【プルトニウム】プルトニウムなど微量でも影響が大きいとされる放射性物質は▽飲料水と牛乳・乳製品、それに乳幼児用の食品ではいずれも1キログラム当たり1ベクレル。▽野菜やコメなどの穀類、肉や魚などそれ以外の食品では1キログラム当たり10ベクレルとなっています。基準値を超える放射性物質が検出された食品は、国が市町村ごとに出荷制限や摂取制限の指示を出すため、流通する可能性はほとんどないとされています。一方、厚生労働省は、こうした食品の暫定基準値を、水道水が飲み水として適しているかどうかの指標としても使っています。ただ、1歳未満の乳児が飲む水道については厳しい値を別に設定していて、放射性ヨウ素が1リットル当たり100ベクレルを超える場合は使用を控えるべきとしています。厚生労働省では、水道を管理する自治体に対し、原則として3日間の平均で指標となる値を超える場合、住民に対し、飲み水としての使用を控えるよう呼びかけることを求めています。一方、原子力発電所周辺の海水や大気といった環境中に含まれる放射性物質については、経済産業省がそれぞれの物質ごとに基準を定めています。このうち海水についてはいずれも1cc当たりで、▽ヨウ素131では0.04ベクレル。▽セシウム137では0.09ベクレル。▽セシウム134では0.06ベクレルとなっています。また大気についてはいずれも1立方センチメートル当たり、▽ヨウ素131では蒸気の状態では0.000005ベクレル。化合物の状態では0.00001ベクレル。▽セシウム137では0.00003ベクレル。▽セシウム134では0.00002ベクレルとなっています。海水と大気のいずれでも、2種類以上の放射性物質が同時に含まれている場合、基準はさらに厳しくなります。一方、土壌中の放射性物質については基準は設けられていません。